化学物質情報管理の基礎知識

法規制、企業対応

EUのRoHS指令(電子・電子機器にまれる特定有害物質の含有規制)REACH規則(化学物質の総合的な規制制度)、CEマーキング(欧州加盟国で製品販売するために必要な許可マークのCEマークを製品に貼付すること)対応だけでなく、アメリカ、中国、韓国に加えて最近ではアセアン諸国でも化学物質規制法が次々と改正されています。それも新規化学物質だけでなく、従来であれば何げなく使っていた物質が規制対象物質に追加されてきています。

化学物質規制法は、化学物質そのものだけでなく、化学物質を含有する塗料、塗装された製品や化学物質を合成したプラスチック部品にも及びますので全産業が対象となり、化学物質管理に縁のなかった多くの企業に戸惑いを広げています。

例えば、RoHS指令では、電気電子機器を構成する部品や材料に特定有害物質の非含有を要求していますが、サプライヤーあるいはサプライヤーのサプライヤーから購入した部品や材料に特定有害物質が含有していないことの情報をサプライヤーから得なくては順法確認ができません。

次々と変わる法規制のなかで、順法のための情報伝達を過不足なくタイムリーにかつ新たな視点での「リスクベース」で効率的に情報伝達することが重要になってきています。

これら激しく変わる法規制への対応は、企業の対応の仕組みから変えることが必要になります。

摘発状況

日本企業によるEUの法規制違反として2001年10月のゲーム機事例が有名ですが、その後も数多くの摘発がされています。

摘発対象製品は、製造物安全一般指令(安全な製品だけを上市するため生産、流通の事業者の義務を定めたEUの指令)により「欧州共同体緊急情報システム(RAPEX=食品・医薬品・医療機器以外の製品が消費者に危険を及ぼす情報を提供・共有するシステム)を通じて欧州委員会に通知するものとする」とされ、それは「消費者向け製品」「プロ用であるが、消費者に使用されることが当然予想される製品」、さらに「無償」や「レンタル」などで消費者に供給される製品」などです。

RAPEX は毎週更新されて、摘発状況の概要が公開されています。

2014年1月から8月の間で、化学物質に関連する摘発は約400件あります。幸いこの中に原産地国が日本の事例はありませんが、2010年からの4年半の間には日本製品が12件摘発されています。

RAPEXでは企業名、ブランドや商品名などがEUおよび周辺国に通知され、リコールなどが要求されますので企業への影響は多大なものになります。

(松浦 徹也)