やがて地元・対馬市がイスズミなど食害魚の有効活用に向けた取り組みを本格的にスタートさせ、一般社団法人MIT(対馬市)とともに犬束氏を支援することになった。プロジェクト名は「食べる磯焼け対策・そう介(すけ)プロジェクト」。犬束氏が考案したメニューを多くの人たちに食べてもらうことで食害魚を減らし、磯焼けを防ごうというものだ。「そう介」はイスズミのこと。「イスズミは臭くて食べられないというイメージが根強い」として、マイナスのイメージを払拭しようと犬束氏が「そう介」と命名した。「海藻のそう、創意工夫のそう、総菜のそう、想いのそう。そう介にはいろんな“そう”が集まっている」という。
2019年11月に東京都内で開催された「第7回Fish-1グランプリ」に「そう介メンチカツ」を出品したところ、国産魚ファストフィッシュ商品コンテスト部門でグランプリに輝いた。審査は、さかなクンら審査委員のほか一般来場者による投票で行われ、最高得票を集めた。「多くの来場者に料理を提供するため、漁協が大量のイスズミを用意してくれた。来場者には好評で、会場で食べたあと、『おいしかったので今夜の夕食用にも買って帰る』という人もいた」と犬束氏は振り返る。
受賞を機にプロジェクトの賛同者が全国に広がり、さかなクンが客員教授を務める東京海洋大学の食堂などで「そう介」のメニューが提供されるようになった。地元では学校給食に採用されている。また、同社のオンラインショップで「そう介メンチカツ」の販売が始まり、全国に発送可能、つまり国内どこでも食べられるようになった。改良を重ね、グランプリ受賞時よりおいしくなっているという。