田澤氏が得意とするブランディングや販売戦略が奏功し、1枚1500円ほどの価格にもかかわらず売り上げは順調。リピーターやまとめ買いの客も増えるなか、幼い子どもを持つ母親から、こんな声が寄せられた。「子どもがタオルを気に入り、口に入れている。すると口から柔軟剤の臭いがしてくる」。いくらタオルが自然由来で安全でも、洗濯すると洗剤や柔軟剤が付着してしまう。竹のタオルと同様に、安心して使える洗剤があったらいい、というものだった。
その声に田澤氏はすぐさま反応。安心・安全な洗剤をリサーチした末に、タオルと同様、竹から作った洗剤が販売されていることが分かった。竹のアルカリ成分には皮脂汚れを分解する働きがあり、昔は竹の灰を水に混ぜた灰汁(あく)で洗濯していたのだ。田澤氏は山口県防府市で竹の洗剤を生産していた伊藤清志氏のもとを訪れた。伊藤氏は自身と同じ80歳前後の高齢者とともに自宅で小ぢんまりと生産していたが、原材料にはもちろん、製造過程でも化学物質を一切使わず、「飲めるほど安全」(田澤氏)なものだった。
「商品にはストーリーがあり、ブランディング次第で付加価値を付けて販売できる」と直感した田澤氏は、伊藤氏から事業を買い取り、生産設備を整備するとともに、研究機関に成分分析を依頼して安全性に関するエビデンスを得た。2016年にエシカルバンブーを創業。準備期間を経て2018年に竹の洗剤「バンブークリア」の販売をスタートした。
販路は竹のタオルと同様に厳選。当初は産科医院や美容室などに絞り、その後、コインランドリーやクリーニング業界にも広がった。また2019年に千葉県を襲った台風15号の際、長引く停電で洗濯機が使えなかった住民の間で「バンブークリアなら、つけおきして、すすがずに干しても大丈夫」との評判が広がり、それをきっかけにアウトドア業界でも販売されるようになった。ただし、「すすぎなしは災害時の特殊ケース。通常は1回すすいで汚れをしっかり落としてほしい」と田澤氏は補足する。