どう取り組めば良いのか分からない………13.2%
必要なノウハウや人材が不足している……9.8%
脱炭素化の取り組みにあたって、資金面、オペレーション面、情報面の課題が存在していることが浮き彫りになった。
「公庫は、融資を通じた資金面での支援と、補助金等の情報面での支援、この双方の支援を行っていく必要があると考えています」(奥山氏)
日本公庫神戸支店は兵庫県と連携して、2022年4月に「地域活性化・雇用促進資金(地方創生関連)」の運用を開始した。
「同制度による融資は、事業者のカーボンニュートラルの取り組みを後押しするためのものになります。利用できる事業者には、いくつかの要件がありますが、その一つとして、一般財団法人省エネルギーセンターが実施する省エネ最適化診断を受診していただく必要がございました」(奥山氏)
日本公庫は、同制度融資の適用を見据えて、嶋本ダイカストに省エネ診断を提案。カーボンニュートラルの取り組みについて検討していた島本氏は、すぐに受診を決めた。
[解決策]
診断結果は良好。今後は設備投資にも力を入れていく
嶋本ダイカストは、これまで省エネ診断のような専門家による評価・提案を受けたことがなかったという。
「省エネ診断を受けるという発想がありませんでした。日本公庫から紹介いただき、専門家ならではの視点でいろいろなことを提案いただいたので、非常に良かったと思っています。自社の省エネの取り組みがどこまで実践できているのかを把握できたので、次のステップに繋がると思いました」(島本氏)
2022年6月、省エネ診断の専門家が第2工場を診断。同年8月の診断報告を、製造担当と環境担当の従業員とともに聞いた。
嶋本ダイカストのCO2排出量を可視化すると、工場の消費エネルギーのうち電力が60%、ガスが40%。また、全体評価は5.0満点中の4.6点という結果になった。
「点数を見る限り、それほど悪くなかったという印象です。やはり、日ごろからエネルギーを大量に消費しているという認識があるので、旧タイプの炉では環境への影響が大きくなると判断し、随時最新の設備に切り替えるようにしていることが良かったと思っています」(島本氏)
そのうえで、専門家から次のような改善提案が出された。
① 低放射遮熱塗料による金属溶解炉の遮熱損失低減
② 廃熱の再利用
③ 蛍光灯照明のLED化
④ 変圧器(省エネルギータイプ)の更新
⑤ 空調、コンプレッサーの吸い込み空気温度の低下
上記の提案に対して嶋本ダイカストは、
① 遮熱塗料より効果が高い遮熱シートの導入を現在検討中。
② 今後の課題にしている。
③ 工場内照明はすべてLED化済み。
④ ⑤ 機器更新のタイミングで検討予定。
すぐに取りかかれる運用改善については社内で対応しているが、一方で設備投資による改善提案に関しては、今後の課題になっている部分もある。
「将来的には工場の屋根に太陽光パネルを設置したいという話も伺っております。設備投資で多額の資金が必要になった場合は、公庫と地域の金融機関が協調しながら、カーボンニュートラルの推進を応援していきたいと思っています」(奥山氏)
(写真左)エネルギー管理状況の平均点は、4.6点でAランクと診断された
(写真中央)工場内の照明はすべてLED化されている
(写真右)大量の熱を発生する融解炉に遮熱シートを取り付ける予定にしている
[伴走支援・今後の取り組み]
脱炭素化の取り組みを加速させ、企業力を強化する支援を実施
「これからはカーボンニュートラルに取り組む企業こそが、消費者や取引先から信頼を得ていくものと考えている」と奥山氏
今後の取り組みとして、工場建屋を新築・増築するタイミングに合わせて、太陽光パネルの設置を検討しているとのこと。ところで、カーボンニュートラルの取り組みに、なぜこれほど前向きになることができたのか。島本氏に聞いた。
「カーボンニュートラルの取り組みは、今後避けて通れない話だと思っています。我々はお客様の受注を確保することが最優先です。お客様がカーボンニュートラルを目指して走るのであれば、当然その方向に向かって一緒に走らなければなりません。いつかはカーボンニュートラルに取り組むことになるわけですから、できるだけ早く対応すれば、より大きな成果が出るだろうし、投資を抑えることができるかもしれません。また、そこから技術やノウハウが蓄積されれば、逆にこちらからお客様に取り組みのアイデアを提案するといったことも可能になると思います」(島本氏)
日本公庫は今後のカーボンニュートラル支援について、
「今回の嶋本ダイカスト様の支援が、地域活性化・雇用促進資金(地方創生関連)の第一号の適用案件になりました。この事例を公庫内の掲示板で公開したところ、高知支店においても高知県と連携した類似の融資制度を開始していると聞きました。これからも特別貸付制度等を活用してカーボンニュートラル支援に注力していきたいと考えております」(奥山氏)
今後は省エネ診断の提案にとどまらず、中小企業基盤整備機構 近畿本部と連携し、専門家派遣によるハンズオン支援で、事業者のさらなるカーボンニュートラルの取り組みを支援していくという。