また、DX委員会のメンバーは、デジタルツールの利用に不慣れな人への対応について、「たとえ同じことを何度も聞かれたとしても、決して面倒そうな顔をしない」といったことを自発的に対応してくれた。DXに向けてだれ一人取り残さないという同社の思いと、メンバーが自分ごととして主体的に取り組んだ結果が表れている。
同社はDX委員会を立ち上げて以降の3年間で、自社で策定したデジタル化計画に沿って21ものシステム・ツールを導入した。岡山県の生産性向上デジタル化補助金に採択されるという幸運もあったが、当初から「デジタル化は費用ではなく、将来への投資」(藤原副社長)という思いがあり、補助金が得られなくとも投資はするつもりだった。
ITシステム導入で決めていたのは、「汎用システムをそのまま導入し、極力自社仕様にカスタマイズしない」(頼委員長)というものだった。そのために、自社のこれまでの作業手順を変えることもいとわなかった。むしろ「汎用システムをガイドとし、業務フロー改革につなげることが大切であり、また汎用システムがアップグレードすればその効果をそのまま享受できため、長い目で見ればメリットが大きい」という考えだ。これも中小企業がITシステムを導入する際に参考になるものだ。
一方でITシステムの選定はDX推進委員会を中心に行い、外部のITベンダーに頼ることはしなかった。迷った時には常にビジョンに立ち返り、そのために必要なツールは何かを自社で探し求めた。さらに、藤原副社長など経営陣に対して、なぜこのツールが必要か比較表を示すなどして説明し、理解を得ることに尽力した。