島津氏の起業までの道のりは比較的長かった。京都大学卒業後、ドリコムに入社。セールス担当として同社のIPOを経験する一方で、業績が厳しくなった部門の事業譲渡を担当し、同僚が次々といなくなるなか最後まで責務を果たした。次にオンライン英会話学習のロゼッタストーン・ジャパンに転職し、法人営業部を一人で立ち上げ、売り上げを大きく伸ばした。「ドリコムでは忍耐強さを学び、ロゼッタストーンではプチ起業を経験した。それらがカウリス設立に際して役立った」と振り返る。
続いて、サイバーセキュリティを手掛けるCapy(キャピー)に入社。当時は他人のIDとパスワードを使った不正アクセスが頻発していた時期で、島津氏は、ログイン時にパズルを当てはめるという対策ツールを大手企業に提案していた。「不正ログインのソリューションを体系的に提案する企業は今のところない。これはブルー・オーシャン(他社と競合することなく事業を展開できる領域)ではないか」と感じたという。
そして起業に向けて大きな転機となったのが2015年2月に行われた「金融イノベーションビジネスカンファレンス(FIBC)」だ。島津氏は法人向け不正ログイン対策ソリューションを発表し、大賞を受賞した。一躍脚光を浴びた島津氏に対しては「ぜひ事業を立ち上げてほしい」「起業時には出資したい」との声が寄せられるようになり、Capyを退社して同年12月にカウリスを設立するに至った。その後、FIBCの関係者であるソニーと主催者の電通国際情報サービス(ISID)は2017年に出資し、カウリスの株主となっている。