市場調査データ

ミニスーパー(2025年版)

2025年 12月 24日

食料品を中心に日用品など幅広い商品を販売するスーパーマーケットの中でも、小規模なものをミニスーパーと呼ぶ。手頃な価格設定や手軽さが評価され、庶民の暮らしに欠かせない存在となっている。民間の調査(※)によると、スーパーマーケットを経営する企業のうち小規模店舗中心型は4割前後を占め、ここ数年はほぼ横ばいに推移している。ミニスーパーの利用状況や利用意向を探るため、20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を実施した。

(※)出典:2025年版「スーパーマーケット年次統計調査」報告書|全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会

1. 現在の利用状況

〈図a〉ミニスーパーの利用状況(n=1,000)
〈図a〉ミニスーパーの利用状況(n=1,000)

ミニスーパーの利用状況をたずねたところ、最も多かったのは「一度も利用したことがない」の266人(26.6%)だった。この層と3番目に多かった「過去には利用していたが、今は利用していない」の162人(16.2%)を合わせた428人(42.8%)が現時点で利用のない層となり、残る572人(57.2%)が利用者層となる。利用者層の中で最も割合が高かったのは、「週に1〜2回程度利用している」の199人(19.9%)で、利用者の中では群を抜いて多い。日々の生活に必要なものを高い頻度で購入していると思われる「週に4〜5回以上利用している」ユーザーは69人(6.9%)だった。

2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

〈図b〉性別・年齢別に見たミニスーパーの利用状況の内訳(n=1,000)
〈図b〉性別・年齢別に見たミニスーパーの利用状況の内訳(n=1,000)

ミニスーパーの利用状況を性別・年齢別に調べてみると、男女ともに、年代が上がるほど利用経験者の割合が増える傾向が見られた。ただし、その増加のほとんどは、「過去には利用していたが、今は利用していない」人の割合が増えていることによる。かつては利用していたものの、途中から利用しなくなる層が少なくないことは注目に値する。その割合は、60代以上になると男女とも2割前後を占める。

一方で、現在の利用者に目を向けると、利用頻度における男女間の違いはそれほど見られない。年代間での違いは、女性は年齢が上がるにつれて、利用頻度もわずかに高くなる傾向が見られる。

3. 利用の基準(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図c〉ミニスーパーの利用判断の基準(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図c〉ミニスーパーの利用判断の基準(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

冒頭の設問でミニスーパーを利用している、または利用したことがあると回答した734人を対象に利用の基準を聞いたところ、「自宅・職場・学校からの近さ」の362人(49.3%)が最多の回答となった。それに続いたのが「価格の安さ・お得感」の243人(33.1%)で、これらを合わせると605人(82.4%)。利便性やお得感を求める割合が大多数を占める結果となった。一方で、品ぞろえや品質、サービスなどを理由に挙げる人は、それぞれ5%以下の少数派だった。

4. 性別・年齢別に見た利用の基準の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図d〉性別・年齢別に見たミニスーパーの利用の基準の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図d〉性別・年齢別に見たミニスーパーの利用の基準の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

ミニスーパーを選ぶ際のポイントを、性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。「3.利用の基準」の結果のとおり、男女ともにほぼ全ての年代で「自宅・職場・学校からの近さ」と「価格の安さ・お得感」が突出した利用理由となった。男性においては年代が高くなるほど「価格の安さ・お得感」を重視する人が増える傾向にあり、40代・50代では3割以上を占めた。一方、女性は「生鮮食品の鮮度・品質」を重視する傾向があり、肉や魚、野菜などの食材を購入していることが分かる。この傾向は年代が上がるほど増加し、男性とは真逆の結果となった。

5. 利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図e〉ミニスーパー1回の利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図e〉ミニスーパー1回の利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

ミニスーパー1回の利用で使う費用では、「500円〜1,000円未満」の層が288人(39.2%)と最も多く、続いて「1,000円〜2,000円未満」の207人(28.2%)という結果になった。これらの回答だけで495人(67.4%)となり、さらに「500円未満」の103人(14.0%)を合わせると、「2,000円未満」の利用は8割以上(81.5%)を占めた。多くの人にとって、少量の買い物に便利な身近な存在としてミニスーパーが利用されている実態が見えてくる。一方で、「2,000円以上」の回答を合算すると136人(18.5%)。主にファミリー層と推測される利用者も一定割合、存在している。

6. 性別・年齢別に見た利用にかける費用の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図f〉性別・年齢別に見たミニスーパー1回の利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図f〉性別・年齢別に見たミニスーパー1回の利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

ミニスーパー1回の利用にかける金額を性別・年齢別に見ると、男性は「1,000円未満」の利用者が多く、全年代で半数以上を占める。一方の女性は「1,000円以上」の利用者が多く、特に40代・50代で顕著だった。1,000円以上の金額帯を見ると、「1,000円〜2,000円未満」では、20代女性を除き男女間の差はそれほど見られないが、「2,000円以上」の金額帯においては、女性の方が多い結果となった。特に「3,000円以上」は女性の30~50代に集中している。

7. 利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図g〉ミニスーパーを利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図g〉ミニスーパーを利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

ミニスーパーの利用動機を聞いたところ、回答が大きく3つに分かれた。「安く買いたいから」の232人(31.6%)を筆頭に、「短時間で買い物ができるから」の178人(24.3%)、「食品や日用品が手軽にそろうから」の177人(24.1%)と続く。2つ目と3つ目の回答を合わせると355人(48.4%)となり、およそ半数の人が主に便利さを理由にミニスーパーを利用していることが分かる。一方、「少量の食材がそろうから」「新鮮な食材がそろうから」といった食材にメリットを感じている回答は少なく、同じように「惣菜などが便利だから」という回答も少数派だった。

8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)

〈図h〉性別・年齢別に見たミニスーパーを利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)
〈図h〉性別・年齢別に見たミニスーパーを利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)(n=734)

ミニスーパーを利用する理由を性別・年齢別に整理したところ、男女ともに、ほとんどの年代で「安く買いたいから」という理由が最も多い。また、女性は「短時間で買い物ができるから」という回答の割合が多く、他方、男性は「食品や日用品が手軽にそろうから」の割合が多くなっている。

年代別の傾向では、「安く買いたいから」という理由は年齢が高くなるほど減り、その他の回答の割合が増加する。価格に対するメリットは高齢になるほど薄まるようである。また、「少量の食材がそろうから」という理由は、女性では年代的な差異は見られないが、男性は年代が上がるとやや高まる傾向がある。数日分の食材を購入するか、その日の分だけを買うかなど、食材の買い方に違いがありそうだ。

9. 今後の利用意向

〈図i〉ミニスーパーの今後の利用意向(n=1,000)
〈図i〉ミニスーパーの今後の利用意向(n=1,000)

アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向を聞いた。最多回答だった「ぜひ利用したい」の322人(32.2%)に、「どちらかと言えば利用したい」の282人(28.2%)が続き、肯定的な意見が6割を超えた。ミニスーパーが人々の暮らしの中に浸透していることが分かる。一方で、「全く利用したくない」と「あまり利用したくない」を合わせた消極的な回答は144人(14.4%)となった。本アンケートの自由回答欄では、「近所にない」「普通のスーパーの方が良い品ぞろえで安い」「キャンペーンなどが少ない」といった意見が見られた。

10. 性別・年齢別に見た今後の利用意向

〈図j〉性別・年齢別に見た今後の利用意向(n=1,000)
〈図j〉性別・年齢別に見た今後の利用意向(n=1,000)

今後の利用意向を性別・年齢別に集計したところ、男女間において大きな差は見られなかった。年代間も20代を除くとそれほど大きな違いは見られないが、わずかな差を挙げると、年代が高くなるほど「全く利用したくない」の割合が減少する。男性はその分、利用意向のある割合が増える傾向がある。

本アンケートの自由回答欄では、「コンビニよりも安い」「便利だから利用している」といった回答が見られ、コンビニをミニスーパーの比較対象としている意見も少なくない。性別や年代を問わず6割程度の利用者層がいることは、そのことを裏付ける結果だと言えるだろう。

11. まとめ(ビジネス領域としてのミニスーパー)

いくつかの設問において、男女間や世代間で大きな差異が見られなかったことは、むしろミニスーパーの傾向のひとつと言えるだろう。性別や年代を超えて幅広く支持されている理由は、「7.利用する理由」で見たように、安さと手軽さが大多数を占める。また、アンケートの記述式自由回答では、利用しない理由に「近くにないから」という回答が目立ち、他方、利用する理由にも「最も近所にあるから」という回答が見られる。日々の移動経路や近所にあれば利用する顧客は多いという結果から、ミニスーパーを開業するならば、まずは立地が重要になる。主な比較対象となるコンビニやスーパーマーケットの競合調査も欠かさずに実施したい。

経営する上では、「7.利用する理由」で上位だった安さと手軽さ、そして短時間で買い物が済む利便性を満たすことが必要である。ただし、安さに注力しすぎると価格競争になり、資本力を持つ大手に勝つことは難しい。個人で開業するなら、大手にはなかなかできない個性に着目するのも一手になるだろう。周辺住民のライフスタイルや趣味嗜好をくみ取り、彼らのニーズを満たす「強み」を持つことを意識すると、新しい施策が見えてくるかもしれない。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)

調査概要

調査期間:

2025年7月5日~9月22日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2025年12月

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