市場調査データ
中古ゲームソフト販売(2025年版)
2025年 7月 23日
コロナ禍の中でも巣ごもり需要の恩恵を受けたといわれるゲーム産業。オンラインプラットフォームのゲームに主役を奪われつつも、レトロゲームブームの追い風を受けて中古ゲームソフトにも注目が集まっている。どんなユーザー層が支持しているのか、また、利用頻度や店舗の選択基準など、中古ゲームソフト販売店の今を探るため、20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を行った。
1. 現在の利用状況

まず、現在の中古ゲームソフト販売の利用状況をたずねたところ、最多回答が「利用したことがない」の519人(51.9%)となり、以降、「以前は利用していたが現在は利用していない」の366人(36.6%)、「年間で数回程度利用している」の56人(5.6%)、「半年に数回程度利用している」の22人(2.2%)となった。現在のユーザー数は「月に4〜5回以上」から「年間で数回程度」までの利用者を合算した115人となり、利用率は9人に1人程度(11.5%)にとどまった。
2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

中古ゲームソフト販売の利用状況を性別・年齢別に示したのが〈図b〉である。まず、男女間で見ると、全世代を通して男性の方が中古ゲームソフト販売を利用する頻度が高いことが分かる。「年間で数回程度利用している」と回答した割合は20代女性が高いものの、30代以上の女性の利用率は10%を下回っている。一方で、男性の方が「月に4〜5回以上利用している」や「月に1〜2回程度利用している」という利用率が高い傾向にある。30代から60代以上の男女で比較すると、男性の方が圧倒的に利用頻度が高いことが分かる。
年代による差異は顕著で、男女ともに、20代は中古ゲームソフト販売を利用する人が多い傾向がある。また、全年代において「過去に利用していたことはあるが、今は利用していない」人の割合が比較的高い。これらの結果から、女性よりも男性の方が中古ゲームソフト販売店を高頻度で利用する傾向があることと、若年層ほど利用する傾向が高いことが見て取れる。
3. 利用の基準(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店の利用状況についてたずねた設問で、利用している、または利用したことがあると回答した481人を対象に、中古ゲームソフト販売店を選ぶ際に重視するポイントを聞いた。最多となったのが「安さ・お得感」の235人(48.9%)で、その次に「買取価格の高さ」の83人(17.3%)、「店舗の立地(生活圏内にある)」の74人(15.4%)、「商品の種類・タイトルの豊富さ」の45人(9.4%)が続いた。価格的な面を重視して選ぶ人が多い一方で、自分の好みや利便性などで選ぶ人も一定数いることが分かる。
4. 性別・年齢別に見た利用判断の基準の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店を選ぶ際のポイントを、性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。男女間での顕著な違いは、「店舗の立地」を重視する割合である。特に20代女性がこの点をあまり意識しておらず、男性よりも安さやお得感を意識する傾向が強いことが分かる。一方、男性は「買取価格の高さ」や「商品の種類・タイトルの豊富さ」を重視する割合が比較的高い。
年代別で見ると、40代以上は「店舗やECサイトの信頼性・レビュー評価」を重視する傾向があり、さらに50代以上は「会員限定サービスや特典の充実」を重視している。特に女性の方がその傾向が顕著である。年齢が上がるにつれて信頼性や特典を重視する傾向が出てくると考えられる。
5. 利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店を訪れた際に、1回で使用する金額を聞いた。最も多かった回答は「1,000円〜2,000円未満」の149人(31.0%)で、「500円〜1,000円未満」の111人(23.1%)、「2,000円~3,000円未満」の100人(20.8%)と合わせて、3,000円未満が7割以上を占めた。これは前項で「安さ、お得感」を重視する回答が多かったことを裏付ける。一方、一度で5,000円以上を利用する人は13人(2.7%)にとどまっている。
6. 性別・年齢別に見た利用にかける費用の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店での1回の利用で使う費用を性別・年齢別に見たのが〈図f〉である。総合的には「1,000円〜2,000円未満」のユーザーが多い。男女間での違いは、女性は各年代で「2,000円未満」が多い傾向なのに対して、男性は「3,000円~5,000円未満」の割合が大きい。特に30代~50代は「5,000円~1万円未満」の回答も多かった。年代間では、20代や60代以上は低額で抑える傾向が強く、高額を利用するユーザーは30~50代に多い。
7. 利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店を利用する理由をたずねたところ、最多の回答となったのが「欲しいソフトが安く手に入るから」の302人(62.8%)で、次が「不要になったソフトを現金化できるから」の81人(16.8%)となり、経済的な判断による理由が多かった。一方で、「懐かしいゲームを探すため」の48人(10.0%)や、「絶版・レアソフトが手に入る可能性があるから」の22人(4.6%)など、コレクター的な観点から利用しているユーザーも一定数いる。
8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

中古ゲームソフト販売店を利用する理由を、性別・年齢別に示したのが〈図h〉である。男女間での顕著な違いは、男性が「絶版・レアソフトが手に入る可能性がある」ことを重視する割合が高いことである。特に全世代でこの点を重視していることが分かる。一方、女性は「不要になったソフトを現金化できる」という点を重視する割合が比較的高い。
年代別で見ると、若年層ほど「欲しいソフトが安く手に入るから」というお得感を重視する傾向があり、特に女性の方がその傾向が顕著である。全体で6割以上の人がリーズナブルさを利用理由に挙げている。
9. 今後の利用意向

アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向をたずねたところ、「全く利用したくない」が376人(37.6%)で、「あまり利用したくない」の65人(6.5%)を合わせると、半数近く(44.1%)を占める。しかしながら、「ぜひ利用したい」の103人(10.3%)と「どちらかと言えば利用したい」の215人(21.5%)の合計が318人(31.8%)となり、さらにおよそ4人に1人(24.1%)が「どちらとも言えない」と回答していることから、利用意向は今後も流動的であることが考えられる。
10. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図j〉では今後の利用意向を性別・年代別のグラフで示した。「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」を合わせた利用意向がある割合は、男性の方が高い傾向があり、特に20代〜50代で顕著だった。なかでも、20代男性の6割以上は利用意向があることを示している。女性では30代〜40代で利用意向を示す割合が高く、全体では3割を超える利用意向を示している。
11. まとめ(ビジネス領域としての中古ゲームソフト販売店)
「1.現在の利用状況」で見たように、現在の中古ゲームソフト販売店の利用率は全体の11.5%にとどまっている。当サイトで2012年に行なった「中古ゲームソフト販売」の利用状況に関するアンケート調査では、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた利用率はおよそ13%だった。アンケートの対象者、設問などが同一ではないものの、この13年でユーザーはやや減少傾向にある。とはいえ「9.今後の利用意向」では、男女共にどの年代も「どちらとも言えない」と回答した人がそれぞれ20%以上に上る点からもユーザー数は流動的で、今後しばらくは中古ゲームソフト販売店に対するニーズの変動は注視していくべきだろう。
ビジネスとしての中古ゲームソフト販売に関しては、オンラインゲームや携帯ゲームアプリの普及で多様なゲーム需要があることを踏まえ、記述式回答を参考にすることも有効だ。「安価で購入できるから」「新作ソフトが高価なので中古を購入」といった価格面に関する回答が多い中で、「懐かしいゲームソフトが購入できるから」「SDGsに貢献できるから」など、中古ゲームソフト販売店ならではのプラス回答も少なくない。
近年のレトロゲームソフトのブームが追い風となり、入手困難なゲームソフト目当ての一定の購買層は存在する。無関心層の中には潜在需要も含まれているため、さまざまな施策によってユーザー獲得につながると考えられる。例えば昭和歌謡のように、20代から60代以上まで、幅広い世代で楽しめる品ぞろえを行うことで、新しいマーケットを開拓できる可能性はある。さらには、リピート利用率向上のためのイベント開催などによる集客効果も期待できるだろう。オンラインの特化や専門性の強化、希少品の取り扱いなどの差別化が鍵となる。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)
- 調査期間:
-
2025年4月26日~6月9日
- 調査対象:
-
国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人
- 調査方法:
-
インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2025年7月