市場調査データ
宅配寿司店
冷凍技術の進歩や、フランチャイズ・チェーン化によるネタの大量仕入れなどで、品質向上やコストダウンが実現し、宅配寿司市場は大きく拡大してきた。 以下では、宅配寿司店についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。
1. 現在の利用状況
現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で21%、男性21%、女性22%となっている(表1、図1)。
年代・性別に見ると、利用率が最も高いのは60代女性(29%)であり、次いで、40代女性(26%)、60代男性(25%)、50代男性(24%)の利用率が高い。
表1 現在の利用状況
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(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図1 現在の利用状況

利用頻度に関しては、利用経験者全体で、「年に1回以下(47%)」の利用者が最も多く、次いで「半年に1回(22%)」「2~3カ月に1回(17%)」の利用者が多い(図2)。
年代・性別にみると、20代・60代男女、30代男性などの利用頻度が比較的高いといえる。とくに20代男性では、利用経験者の31%が「月に1回」以上利用しており、15%が「週に1回」以上利用している。
図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
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1回(1人)あたり利用金額は、利用経験者全体で、1,000円~2,000円未満の範囲がボリュームゾーンだといえる(図3)。この範囲内に利用経験者全体の37%が収まっている。
最も利用率の高い60代女性では、利用経験者の60%が1回に2,000円以上を使い、32%が1回に3,000円以上を使い、18%が1回に5,000円以上を使っている。
図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
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2. 今後の利用意向
「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で30%、男性28%、女性33%であり、女性の利用意向が高いといえる(表2、図4)。とくに30代・60代女性(39%)の利用意向が高い。
宅配寿司の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は全体的にほぼ6割以上であり、とくに30代女性では73%に達している。
表2 今後の利用意向
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(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図4 今後の利用意向
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積極的潜在需要(積極的利用意向-利用率)は、30代・50代女性を中心に全ての性別・年代に広く分布していると考えられる(図5)。
宅配寿司の利用に否定的な意向を持たない層を加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、30代女性を中心に幅広い性別・年代に存在していると考えられる。
30代・50代女性を中心に、年代・性別を問わず幅広い層の関心をいかに喚起し、実際のサービス利用に結びつけていくかが、今後の成功の鍵といえるだろう。 また、図1で、「利用経験あるが、現在利用していない」人の割合が利用率と比べると高く、リピーターが定着しにくい様子もうかがえるので、ポイントカードの導入や誕生日・記念日に向けた販促など、既存顧客のリピート率向上に努めることも重要だといえる。
図5 潜在需要
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※寿司は、日本人にとって馴染みの深いメニューであるが、自宅で調理する機会は少ない。とくに握り寿司に関しては、そもそも調理技術を持つ人が少ないため、寿司は本来、外食・中食依存度の高いメニューだと言える。本レポートのアンケート調査は2010年に行われたものであるが、特別な理由がない限り、現在の利用状況に大きな変化は無いものと考えられる。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
調査概要
- 調査期間:
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2010年8月3日~8月23日、11月19日~24日
- 調査対象:
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WizBiz株式会社 消費者モニター組織「コンシューマー・アイズ」のモニター会員、全国20代~60代男女(有効回答数:1249人)
- 調査方法:
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インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2013年9月