市場調査データ
タクシー(2013年版)
タクシーは、個人開業者の多い事業の一つである。また、高齢となり自身での車の運転を控える人も増えている。以下では、タクシーについての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査結果を元に探っていく。
1. 現在の利用状況
現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で49%、男性47%、女性51%であり、男女ともに利用率は高いといえる(表1、図1)。
男女共に高い年代であるほど利用率は高く、年代・性別で見た利用率は、60代女性(67%)、60代男性・50代女性(58%)、50代男性(53%)などの順となっている。
また、若い年代では、「利用経験あるが、現在利用していない」の割合が40%前後となっており比較的高いことから、リピート率の低さも窺える。
表1 現在の利用状況
(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図1 現在の利用状況
利用頻度は、おおむね女性よりも男性で高いといえる(図2)。利用経験者のうち「月に1回」以上利用するユーザーの割合は、20代男性(37%)、30代男性(26%)、60代男性(22%)、40代男性(21%)の順で高くなっている。また、男性利用経験者の中には、「週に1回」以上利用するユーザーも、20代・30代で7%、60代で6%、40代で5%程度存在している。
図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
1回あたり利用金額は、「700円~2,000円未満」がボリュームゾーンであると考えられる(図3)。この範囲内に利用経験者全体の69%が収まっている。
また、「1,000円~1,500円未満」と「1,500円~2,000円未満」の境がグラフの50%のやや下に位置していることから、1,500円を少し下回る金額が1回あたり利用金額の一般的な相場(中央値)であると推定できる。
年代・性別での利用金額にはバラツキがあるが、30代女性や50代・60代男性など1回に1万円以上を使うユーザーも一部存在している。
図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)
2. 今後の利用意向
今後「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で37%、男性35%、女性38%であり、若干女性の方が利用意向が高い(表2、図4)。また、積極的利用意向は、50代以上の男女で高く、とくに60代男女では50%に達している。
タクシーの利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、20代男性を除く全ての年代・性別で60%を超えており、全体的に高いといえる。また、消極的利用意向は高い年代であるほど高いという傾向も見られる。
表2 今後の利用意向
(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)
図4 今後の利用意向
積極的利用意向から実際の利用率を除いた潜在需要(積極的潜在需要)は、高い利用率を背景に、総じてゼロまたはマイナスとなっている(図5)。
タクシーの利用に否定的な意向を持たない層を加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、若い男性をはじめとして、全ての年代・性別の層に存在している。
高い利用率を背景に、市場は飽和状態に近い状態にあると考えられるが、未だ喚起されていない需要も若い年代を中心に眠っていると考えられる。
今後は、既に利用率の高い高年齢層の需要を囲い込むと同時に、回数券や割引券の活用や会員制度の導入などにより、顧客のリピート化に向けて努力することも必要だと考えられる。
図5 潜在需要
※総務省統計局「家計調査(総世帯調査)」によると、家計1世帯がタクシー代にかける年間支出金額平均は、2007年に7,780円であったものが2012年には6,441円にまで減少してきている。本レポートのアンケート調査は2012年に行われたものであるが、現在の利用状況は傾向として若干下がっているとも考えられる。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
調査概要
- 調査期間:
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2012年6月2日~6月29日
- 調査対象:
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国内在住の20~60代男女(有効回答数:1,084人)
- 調査方法:
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インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2013年9月