省エネQ&A

都市ガスに使用時に省エネ法で求めた総熱量と東京都等の環境条例で求めた総熱量に微妙な差異が生じる理由は?

回答

省エネ法と東京都等の環境条例との総熱量を一致させるには、省エネ法でのガス使用量として検針票に記載されたガス使用量(m3(立法メートル))に係数(低圧用で0.9667Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル)、中圧用で0.9571Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル))を掛けた数値を記入する必要があります。

省エネ法でも東京都等の環境条例でも、一定規模以上の事業者は年度ごとに報告書の提出が義務づけられ、指定された様式に使用した燃料ごとに年間使用量を入力することで総熱量(GJ)が自動計算されます。省エネ法で求めた総熱量と東京都等の環境条例で求めた総熱量に差異が生じているのは下記の理由からと考えられます。総熱量(GJ)は、単位発熱量とガス使用量を掛けることで求めます。先ず、単位発熱量ですが、東京ガスでは、「都市ガスの熱量を『摂氏0度および圧力101.325キロパスカルの状態のもとにおいて乾燥したガス1立方メートルの総熱量』と定義」し、表示しています。ここで、「0℃、101.325kPaの状態」とは標準状態と呼ばれNm3(立法メートル)で表示します。そして、単位発熱量の単位として、東京都等の環境条例では(GJ/Nm3(立法メートル))と表示されています。次に、都市ガスの計量単位はm3(立法メートル)であり、容積流量と呼ばれるものです。気体は温度が高くなると容積が増え、圧力が高くなれば容積は減ります。したがい、使用状態での温度、圧力がガスメータの設定条件と異なる場合は補正をする必要があります。検針票に記載されたガス使用量は標準状態での容積流量ではなく、都市ガスメータの種類(低圧用と中圧用の2種類があります)ごとに決められた温度・圧力での容積流量(m3(立法メートル))を表示しています。具体的には、低圧用が15℃、103.325kPaで、中圧用が15℃、102.306kPaでの容積流量を表示しています。以上から、総熱量を求める際には検針票に記載されたガス使用量(m3(立法メートル))とそのままでは掛け合わせることができず、ガス使用量(m3(立法メートル))を標準状態でのガス使用量(Nm3(立法メートル))に換算することが必要となります。このため、東京都等の環境条例では都市ガスが低圧用か中圧用かを記入する欄があり、検針票に記載されたガス使用量(m3(立法メートル))を標準状態でのガス使用量(Nm3(立法メートル))に係数を掛けて自動換算しています。その係数は低圧用で0.9667Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル)、中圧用で0.9571Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル)です。省エネ法では、該当箇所の換算係数は(GJ/千m3(立法メートル))であり検針票に記載されたガス使用量(m3(立法メートル))をそのまま使用できそうですが、換算係数の数値は東京都等の環境条例の数値と同じです。つまり、係数分だけの誤差が生じることとなります。言い換えると、省エネ法と東京都等の環境条例との総熱量を一致させるには、省エネ法でのガス使用量として検針票に記載されたガス使用量(m3(立法メートル))に係数(低圧用で0.9667Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル)、中圧用で0.9571Nm3(立法メートル)/m3(立法メートル))を掛けた数値を記入する必要があります。

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均