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「工場等」の判断基準に基づく個別管理標準作成上の留意点-(6)電気の動力、熱等への変換の合理化(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等

回答

「工場等」の判断基準の「(6)電気の動力、熱等への変換の合理化(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等」を取り上げ、「該当する設備」、「管理内容と補足説明」と「個別管理標準を作成する上での留意点」について解説しています。

「工場等」の判断基準に基づく個別管理標準作成上の留意点に関わり、9回目として、「工場等」の判断基準の「(6)電気の動力、熱等への変換の合理化(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等」を取り上げます。

I. 「工場等」の判断基準の「(6)電気の動力、熱等への変換の合理化(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等」に該当する設備

関東経済産業局のホームページ上で例示されている設備は、下記のとおりです。

蒸気ボイラー(プロセス用、空調用)、空気調和設備(エアハン等)、空気調和の熱搬送設備(エアハン等)、空調用吸収式冷凍機(蒸気等、燃料)、電動ターボ冷凍機、チラー(空調用、プロセス用)、ヒートポンプ式エアコン(電動式、エンジン駆動式)、給湯設備、給湯設備(電気温水器、燃料焚温水ヒーター、蒸気熱源温水器)、自家発電設備(蒸気タービン、復水型、ディーゼルエンジン、ガスタービン型)、コージェネレーション(ディーゼルエンジン、ガスタービン型、蒸気タービン、抽気・背圧型)、空気圧縮機、蒸気駆動のコンプレッサー等、ポンプ、ファン、排水処理、燃料使用加熱/乾燥/熱処理設備(溶解、熱処理、加熱)、電気使用加熱/乾燥設備、蒸気使用加熱/乾燥設備、蒸気使用加熱成形設備、電気使用加熱成形設備、蒸気使用表面処理、洗浄、脱脂、中和等設備、電解設備、冷蔵・冷凍設備、製品製造設備(溶接機を含む)

II. 「工場等」の判断基準での管理内容と補足説明

「工場等」の判断基準の「工場等」の判断基準の「(6)電気の動力、熱等への変換の合理化(6-1)電動力応用設備、電気加熱設備等」の1. 管理として規定されている項目は、アからカの6項目で、下記のとおりです。

ア.
電動力応用設備については、電動機の空転による電気の損失を低減するよう、始動電力量との関係を勘案して管理標準を設定し、不要時の停止を行うこと。

イ.
複数の電動機を使用するときは、それぞれの電動機の部分負荷における効率を考慮して、電動機全体の効率が高くなるように管理標準を設定し、稼働台数の調整及び負荷の適正配分を行うこと。

ウ.
ポンプ、ファン、ブロワー、コンプレッサー等の流体機械については、使用端圧力及び吐出量の見直しを行い、負荷に応じた運転台数の選択、回転数の変更等に関する管理標準を設定し、電動機の負荷を低減すること。なお負荷変動幅が定常的な場合は、配管やダクトの変更、インペラーカット等の対策を検討すること。

エ.
誘導炉、アーク炉、抵抗炉等の電気加熱設備は、被加熱物の装てん方法の改善、無負荷稼働による電気の損失の低減、断熱及び廃熱回収利用(排気のある設備に限る。)に関して管理標準を設定し、その熱効率を向上させること。

オ.
電解設備は、適当な形状及び特性の電極を採用し、電極間距離、電解液の濃度、導体の接触抵抗等に関して管理標準を設定し、その電解効率を向上させること。

カ.
その他、電気の使用の管理は、電動力応用設備、電気加熱設備等の電気使用設備ごとに、その電圧、電流等電気の損失を低減するために必要な事項についての管理標準を設定して行うこと。

III. 個別管理標準を作成する上での留意点

  • (6-1)1. アの規定では、例えば、「昼休み」、「30分以上使用しない」等不要時の規定または生産計画等で運転時間を明確に定めることを求められています。
  • (6-1)1. ウの規定では、流体機械の負荷側の適正な圧力や流量を把握し、負荷側の需要に相応した適正な吐出圧力や流量となるように使用台数の選定や回転数制御に関する管理標準を定め、全体として電力使用量を節減することが求められています
  • (6-1)1. エの規定は、小容量の電気ヒーターや電気温水器などは対象外です(小容量の電気ヒーターや電気温水器などは、(6-1)1. カで規定します)。また、本規定では、無負荷時の運転方法について定めることが求められています。
  • (6-1)1. オでは、電解液濃度、電極間距離、接触抵抗について管理基準を定め、結果を記録することが求められています。
  • (6-1)1. カの規定では、計測器の設置の有無にかかわらず、主要な機器について電圧、電流の管理値を設定することが求められています。なお、小容量の電動機器については「何kW以上について管理標準を設定する」として、裾切りすることができます。

技術士(衛生工学) 加治 均

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均