省エネQ&A

飲料自販機における省エネ性能や機能・効果について教えてください。

回答

缶・ボトル飲料、紙容器飲料、カップ式飲料自販機は省エネ法の特定機器に指定され、性能の向上を図る等の努力をすることなどが定められています。その結果、2014年の自販機1台当たりの年間消費電力量は、2005年に比べて52.5%減少しました。

缶・ボトル飲料、紙容器飲料、カップ式飲料自販機は、乗用自動車、貨物自動車、エアコンなどと同様に、省エネ法の特定機器に指定されています。特定機器の製造事業者等に対しては、エネルギーの消費量との対比における機械器具の性能の向上を図る等の努力をすることなどが定められています。

飲料自販機の省エネ技術として、下記の様な技術が採用されています。

  • ヒートポンプ:庫内の冷却装置から出る熱を再利用し、ホット商品を温めています。この方式により、消費電力量が大幅に低減されます。
  • ゾーンクーリング/ゾーンヒーティング:冷蔵庫のように庫内全部を冷やすのではなく、部分的に、もうすぐ売れていく商品だけを冷やすことで消費電力量を減らす機能です。どれくらいの部分を冷やせばいいのかは、自販機に内蔵されたマイコンが、これまでの売れ行きデータなどから判断します。
  • 照明の自動点滅・減光:自販機は、自動的に照明(蛍光灯)をつけたり消したりしています。屋外に設置されているものは周りの明るさを感知するセンサーでコントロールされています。また、蛍光灯自体もインバーターによって減光し、使用する消費電力量が抑えられていますし、消費電力量の少ないLEDも採用され始めています。
  • 真空断熱材:自販機の省エネでは、庫内の冷たさや温かさをできるだけ逃がさないでエネルギー効率を高めることがポイントになります。このため最近の飲料自販機には断熱材としてグラスウールなどを真空パックし金属フィルムで覆った保温効率の高い真空断熱材が使われるようになってきました。
  • ピークカット機能:電力需要がピークとなる夏の午後(7月1日~9月30日の午後1時~午後4時)は、一時的に冷却運転をストップし、電気使用量を抑えています。現在、北海道を除くエリアで缶・ボトル自販機のほぼ100%に具備されています。
  • 学習省エネ:自販機に内蔵されたマイコンが、これまでの売行きデータなどを分析し、その結果に応じてゾーンクーリング/ゾーンヒーティングなどの省エネ機能を自動的に適切に働かせるという仕組みです。
  • 屋内自販機の24時間消灯:屋内自販機は、日本全国に約125万台あるといわれ、そこで使われている照明を「24時間消灯」すると、約10%の電力削減が見込めます。専用のステッカー(下図)が「消灯=販売停止中」の誤解を防いでいます。

その結果として、飲料自販機の1台あたりの年間消費電力は下図のとおり削減され、2014年の自販機1台当たりの年間消費電力量は、2005年に比べて52.5%減少しました。

飲料自販機出荷数1台あたりの年間消費電力 飲料自販機出荷数1台あたりの年間消費電力

そして、ヒートポンプに使うコンプレッサを2機搭載し、これらを冷暖で使い分けることで、年間消費電力量が420kWhで稼働する省エネ自販機も開発、販売されています。

省エネ型自動販売機は、下写真に一例を示すとおり、銘板に年間定格電力使用量(赤線)が記載されています。

省エネ自販機の銘板の例 省エネ自販機の銘板の例

年間定格電力使用量を確認され、年間定格電力使用量が多い場合は契約業者と相談のうえ、省エネ型自販機に更新されることをお勧めします。

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均