省エネQ&A

ZEB(Zero Energy Building)を支える省エネ技術(2)

回答

「ZEBロードマップ検討委員会 とりまとめ」での事務所ビルをモデルとしたZEB Readyの試算結果から、ZEBを実現するために追加される仕様のキーワードは、分散化(小型化)、未利用エネルギーの活用、機器の高効率化、基準の見直し、制御であると言えるでしょう。

「ZEBロードマップ検討委員会 とりまとめ」(平成27年12月 経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー対策課)での事務所を例として、ZEB Ready基準を満たす仕様について解説します。

「ZEBロードマップ検討委員会 とりまとめ」では、3ケース(A:平成25年基準相当、B:平成25年基準相当(ガラス建築化)、C:ZEB Ready)について、下記のとおり、仕様を記載しています。表中、薄緑色で囲まれた仕様が、C:ZEB Readyを実現するために追加された仕様です。

事務所の一次エネルギー消費量試算 事務所の一次エネルギー消費量試算

3ケースの一次エネルギー消費削減量{MJ/(年・m2(平方メートル))}の試算結果を下図に示します。

一次エネルギー消費削減量 一次エネルギー消費削減量

また、追加された仕様の個別の効果は、「B:平成25年基準相当(ガラス建築化)」を基準として、下図のとおりです。

追加された仕様 追加された仕様

上図から、中央空調方式での対策(空c:14%)、照度の見直し(照b:9%)、中央空調熱源機の高効率化(空b:8%)、中央空調熱源機の台数制御(空a:7%)などが効果の高い追加仕様であることが分かります。

そして、ZEBを実現するために追加される仕様のキーワードは、

  • 分散化(小型化)・・・空冷ヒートポンプの圧縮機台数制御、小流量ポンプ、全AHUのVAV化(最低流量70%)、ダブルファン(最低風量50%)など
  • 未利用エネルギーの活用・・・VVVF(電力回生あり)
  • 機器の高効率化・・・中央空調熱源機のCOP(水噴霧装置付)、ファン効率60%(プラグファン)、自動給湯栓など
  • 基準の見直し・・・照度500Lx
  • 制御・・・機械/電気室の温度制御、便所・湯沸人感センサ、初期照度補正、昼光調光制御など

であると言えるでしょう。

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均