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脱炭素、新エネ技術競う スマートエネルギーWeek開幕 

2023年 9月 14日

脱炭素や再生可能エネルギーなどの最新技術を展示する「スマートエネルギーWeek」が13日、幕張メッセ(千葉県幕張市)で始まった。水素・燃料電池、太陽光発電、二次電池、スマートグリッド、風力発電に関する展示が行われている。中小企業も多数参加し、来場者にとっておきの新製品や新サービスの説明をしようと奮闘していた。会期は15日まで。

新光産業の真空断熱液体水素タンク

新光産業株式会社(山口県宇部市)は、真空断熱液体水素タンクを展示している。同社が製造した水素タンクを搭載したトヨタ自動車の液体水素燃料車カローラが、5月に開催された24時間耐久レースで完走した。森分正和機械事業部営業グループ部長は「水素タンクは二重構造で、中にはマイナス253度Cの液体水素が入っている。タンクは複雑な構造で溶接が難しくわずかな隙間でも漏れ出てしまう。トヨタ自動車から当社の溶接の技術を認めてもらったのがうれしい。ずっと極秘で開発していたが、この展示会でしっかりアピールしたい」と意気込んでいた。

吉田機械興業の微粒化装置の説明を聞く来場者

吉田機械興業株式会社(名古屋市熱田区)は、材料をナノ(10億分の1)メートルレベルに微細化する微粒化装置「ナノヴェイタ」を展示している。高速せん断力で処理することで粒子にダメージを与えないという特性がある。蓄電池の機能性材料の一つであるカーボンナノチューブを、粒子の形状を保ち長さを均一に分散すること薄膜化できるなど、電池技術の向上に貢献できる。西田智NT事業本部NT東日本統括は「開幕直後からたくさんの来場者に来ていただいている。これまで微粒化装置は海外製が主流だったが、国産化が望まれていた。当社の製品はまだまだ知られていないが、電子・電池材料や医薬品などナノテク研究に幅広くお役に立てると自負している」と、手ごたえを感じている。

誠電社は風力発電専門のトレーニングセンターを紹介

株式会社誠電社(福島市)は、2022年8月に開設した日本初の風力発電専門トレーニングセンター「FOMアカデミー」を紹介している。開発営業部の尾形華奈恵さんは「風力発電が普及する中でメンテナンス人材は4000人不足するとも言われている。FOMアカデミーは風力発電業界の安全訓練と緊急事態に関する国際基準である『GWO認証施設』で、ここで認証資格をとってもらえば、日本だけでなく海外でも風力発電のメンテナンスが行える」と説明する。FOMアカデミーは廃校となった小学校の跡地を有効活用して開設した。近くにはホテルも運営しており、これまでに300人近い卒業生がいるという。

大辰は企業の太陽光導入を一貫でサポートする事業を紹介

株式会社大辰(兵庫県尼崎市)は、企業の太陽電池発電導入に必要な設計・調達・建設をワンストップで提供するEPC事業をアピール。資金調達から電力会社との協議、許認可の取得までトータルでサポートする。横井良平環境設備事業部営業課係長は「もともと太陽電池の架台事業からスタートしたので、工場の屋根から池の上、駐車場など顧客のどのような要望にも対応できる。カーボンニュートラルへの対応とともに、電力料金の高騰で太陽電池の設置を検討する企業が急増しており、今日もたくさんの来場者に来てもらっている」と説明に奔走していた。

展示会の詳細はスマートエネルギーWeekのホームページまで。