中小企業NEWS特集記事

「プロシーズ(大阪府吹田市)」ベトナムの潜在市場開拓

この記事の内容

  • ベトナム日系企業にeラーニングを提供
  • 国内では中小企業の掘り起こしに注力
  • eラーニングの有用性を自社導入で実感
自社スタジオでeラーニング・コンテンツ制作のデモをする花田氏

「日本市場は縮小する。アジアに出て行かない手はない」。eラーニングをはじめとする教育・人材ビジネスで成長著しいプロシーズの花田隆典代表取締役は、今、アジア市場に目を向けている。

同社では、ベトナムでeラーニング関連ビジネスを立ち上げている最中で、数年先には月額2000万円以上を売り上げる、との青写真を描いている。さらに、「10年後には国内と海外がとんとんになるまでもっていきたい」と、アジアを起点とする世界市場の開拓に拍車をかけていく。

ベトナムでの事業化に先立ち、中国およびシンガポールへの進出を検討した経緯がある。しかし、中国では現地企業との合弁会社の設立がネックとなって計画は頓挫した。また、シンガポールは「金融法人などのヘッドクォーターが集積しているものの、われわれが手がける教育ビジネスのマーケットはなかった」(花田社長)ため、進出を見送った。

次の一手をどうするか。攻めあぐねていた時、ひょんなきっかけから、中小機構の海外市場F/S(実現可能性調査)事業を知る。同事業は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟国のどこか1ヵ国が調査対象となる。花田社長は迷わずベトナムを選んだ。「たまたまベトナムに当社のオフショア開発の拠点があり、何より、伸び代たっぷりのこれからの国なのが大きな魅力に思えた」(同)ためだ。

花田社長らは昨年8月に10日間ほどベトナムを訪れ、主要顧客と想定している現地日系企業のニーズなどを調査した。その結果、「eラーニング市場はまだ育っていない。しかし、社員研修をやっている会社、やりたい会社は非常に多くて、当社の事業に興味を持つパートナー候補企業もたくさんあることが分かった」(同)。

市場は顕在化してはいないが、潜在市場は大きい。そう見極めて、今年になってベトナム通の日本人スタッフを採用し、顧客の開拓や、代理店などパートナー企業の発掘に乗り出している。すでに、大手日系企業1社が顧客となり、また、パートナー企業もみつかるなど、上々の滑り出しになっている。

ベトナムで事業を進めるには、eラーニング・コンテンツのベトナム語化や英語化が欠かせない。言語だけでなく、習慣や文化などに考慮したローカライズも欠かせない。花田社長は「手探り状態なので、最初は、自前のコンテンツもさることながら、ベトナムにフィットすると思えるものを探し出して提供する商社的な動きをしていく」と、戦略の一端を明かす。

同社は『学ぶ、働く、成長する』の3つを支援する教育・人材ビジネスを推進してきている。主力製品・サービスは、eラーニングをはじめ採用・異動など人事全般のインフラシステムとなるLMS(学習マネジメントシステム)と各種eラーニング・コンテンツの2つだ。

そのうち、コンテンツ類はロジカル思考、セクハラ対策、接客マナー、パソコンソフト講座など多種多様。大阪本社(大阪府吹田市)および東京本部(東京都港区)にスタジオを設けて、例えば、「顧客企業が自社のトップセールスマンを講師にして営業ノウハウを伝授するコンテンツづくり」といった要望に応えてもいる。

顧客となる企業は大手が主体で、中小企業にはまだ、ほとんど浸透していない。その辺りの事情を花田社長は「大手企業は、既存の社員研修をeラーニングに置き換えると費用対効果が明らかによくなるので導入しやすい。その点、中小は研修の取り組み自体が遅れており、eラーニングのメリットの訴求が難しい。しかし、1ユーザーとして、当社自身、中小やベンチャーほどメリットが大きいと肌で感じており、これからは中小企業にも普及させたい」と現状を語り、今後を展望する。

中小企業の掘り起こしにより、少子高齢化の影響などで縮小懸念が強い日本市場を深耕する。併せて、ベトナムからアジアそして世界各国へ進出する。国内外の両にらみ作戦で、さらなる成長発展を目指していく。

企業データ

企業名
プロシーズ
Webサイト
設立
2003(平成15)年6月
従業員数
60人
代表者
花田隆典氏
所在地
大阪府吹田市広芝町10-25
Tel
06-6190-6276
事業内容
eラーニング、システムインテグレーション、次世代人材事業など