治療器を使用するアスリートからはこんな話も。リオ、東京と2大会連続出場した女子体操の杉原愛子選手は、2019年の冬から翌年春にかけて右足の舟状骨(しゅうじょうこつ)が完全骨折寸前の状態となり、その手術後の治療の際に同社の超音波骨折治療器を使用した。これは超音波の音圧効果で骨折部位の骨の形成を促進する機器。負傷した部位に当て続けるだけで特に刺激はなく、杉原選手は「これで治るの?」と半信半疑だったが、数日で痛みが軽減され、予定より2カ月ほど早く復帰できたという。
思いのほか早い回復に杉原選手は驚いたが、一方で荒井氏らは、杉原選手がそれほど大きなケガをしていたことを東京五輪からだいぶ経ってから知り、驚いたという。知っていたのは担当の社員だけ。「アスリートのケガなどコンディションはトップシークレット。時期によっては代表選考にも影響を及ぼしかねないだけに厳しく情報統制が行われる。社長や上司に報告する必要もない」と荒井氏は話す。
このほかにも、日本代表選考に関わる大会の数週間前にある選手が事故に遭って負傷するというアクシデントがあった。負傷の事実は伏せられたまま、同社は治療器を貸し出してサポートした結果、選手は大会で優秀な成績を残すことができ、その後の五輪では見事メダルを獲得した。荒井氏は「表に出せない話が非常に多いが、自分たちはいい仕事をしているんだ、と胸を張って言える」と強調した。