日本からフランスへ—。選手村への寝具の供給は苦労の連続だったそうだ。
段ボールベッドはフランス国内での製造・再資源化を義務付けられた。製造ノウハウは日本の製紙メーカーと共有しており、日本の製紙メーカーの協力を取り付ける必要があった。高い強度が求められる段ボールベッドを製造できる現地メーカーを探し出し、日本の製紙メーカーの協力を得てノウハウを提供した。
東京では寝具の供給だけだったが、パリでは選手村の各居室への設置作業も任されている。居室への寝具の設置期間は3か月ほど。日本から1万6000床ものマットレスを期間中にパリに送り込まなくてはならない。1日約300床のペースで寝具を毎日選手村に納入した。日本からパリへのマットレスの輸送では、貨物船がスエズ運河で座礁し、エジプトで別の船に積み替えしてフランスに運んだこともあったそうだ。
大会後のマットレスのリユース先にはフランス軍やパリ・オペラ座バレエ学校、慈善団体などを選定した。国や地域の人々の暮らしや文化に貢献している組織、公共性の高い団体という観点から選んだという。
現地では、1月から5人の女性社員が赴任し、最前線に立って奮闘している。現地の物流会社や組織委員会など多くのステークホルダーとの連携を図りながら、ミッションをこなしている。「物流担当の社員は家族を日本に残しての海外赴任だが、年明けに『ここは私がいかないといけない』と積極的に手を挙げてくれた。いろいろな課題を乗り越えながら作業を進めてくれている」と高岡氏は目を細めていた。