そして99年に発売したのが「おべんとうに便利」シリーズであり、自然解凍というコンセプトが市場に与えたインパクトは予想以上に大きかった。調理せず弁当箱に入れるだけで、手も皿も汚さなくてすむなど好評の声が寄せられ、売り上げも急伸した。
発売から1年あまりは他社の追随をゆるさない状態を謳歌したが、生き馬の目を抜く競争市場にあって、独壇場はそういつまでも続かない。競合各社が相次いで参入したことで、自然解凍の冷食に対する消費者の認知度が上がり、市場規模が拡大するといったプラスの効果もあったが、市場を切り拓いて首位を突っ走ってきた同社としては、安穏として競合場裡に埋没するわけにはいかなかった。そこで、さらに上のステージをめざしたリニューアルに踏み切る。
リニューアルにあたって消費者調査をしたところ、(1)電子レンジにかけずにすみ、調理の手間が省ける、(2)忙しい朝、調理時間がかからないのでたすかる、(3)電子レンジを使わなくてすむので、省電力になる——といった3点の評価が浮き彫りになった。
家庭用食品部冷凍食品課長の西昭彦さんは分析する。
「シリーズ名の『おべんとうに便利』で訴求したように、便利さが評価されています。これは予想どおりでした。ところが、自然解凍のもうひとつのメリットである"おいしさ"に対する評価がいまひとつ弱い。自然解凍すると素材により近い食感が残っていておいしく、自然解凍はその"おいしさ"をウリにしてきたつもりだったのですが、それがうまく伝わっていなかったことが消費者調査でわかりました」
そこで、いまいちど自然解凍のおいしさをアピールするため、07年9月のリニューアルではそのものズバリのシリーズ名「自然解凍でおいしい!」にあらためた。
件の消費者調査で明らかになった「省電力効果」は予想外の評価だったが、リニューアルではそれをアピールするようパッケージに「エネルギーがかからないエコ調理」と表示した。
リニューアル効果で発売後の売上げは順調に伸長。ところがほどなく中国製餃子の中毒事件が冷凍食品業界を震撼させる。その影響で冷食市場が一気に冷え込み、「自然解凍でおいしい!」も少なからずその影響を被る。