同研究所で長年にわたり開発をリードしてきた江本三男さん(現在はマーケティング部食品製品部マンナンヒカリ担当部長)は振り返る。
「こんにゃく粒がおいしくない主な要因はなんといってもそのにおいです。においの成分として、1つは魚の腐敗臭と同じトリメチルアミン、もう1つはこんにゃくを固めるときに使うアルカリ成分が挙げられます。これらのにおいが原因で、こんにゃくが嫌いという人もいます。しかし、原因さえわかればにおいのもとは断てます。そこで特別に精製したこんにゃく粉を使うことによって無味・無臭にしました」
においのつぎに取り組んだのが「色」だった。炊きあがったご飯の色は、特有の潤いを帯びた白さに特徴があり、その色こそ食欲をそそる1つの絶対条件になる。が、こんにゃくは不透明な灰白色をしている。それはヒジキなどの海藻を混ぜているからだ。そこで、同社はヒジキを除いて代わりに食物繊維を混ぜることで白い色調に整えた。
においと色の課題はこれで解決できた。しかし、食感が白米と大きく異なる。こんにゃくにはプリプリした弾力感がありすぎるため、白米と一緒に炊き込むとどうしてもご飯のおいしさを損なわせてしまう。そこで、でんぷんを混ぜることでこんにゃくのプリプリ感を和らげ、同時にご飯特有の粘りもつくり出した。
ちなみに、こんにゃくを冷凍庫に入れたことがあるだろうか。入れた経験がある人はかなり残念な思いをしたことだろう。なぜなら、こんにゃくは冷凍保存がきかない。解凍するときに離水してボソボソになり食べられなくなってしまうからだ。なお、これを逆手に取って発明されたのが凍みこんにゃくだ。茨城県の伝統食材であり、こんにゃくの離水現象を利用してつくられた名産品である。
さて、そのこんにゃくの離水現象に対してでんぷんにはそれを防ぐ働きがある。従来のこんにゃく加工食品では、混ぜて炊いたご飯をいったん冷凍し、再び電子レンジで解凍するとこんにゃく加工食品がボソボソになってしまった。が、でんぷんを加えたことによってそれも解決できた。
商品名のマンナンヒカリは、こんにゃくの主成分である「グルコマンナン」と、おいしいコメの代表格である「コシヒカリ」からなる合成語として命名された。