苦笑いしながら上山さんは懐かしそうに思い出す。それまでのフジッコはとろろ昆布、塩吹昆布などドライタイプの商品を手がけていたが、ウエットタイプの佃煮をつくるのは初めてだった。原料の選定から製法の開発まですべて一から始めなければならなかった。
当時、フジッコは、今後の昆布市場はドライタイプの商品から、ウエットタイプの佃煮商品への比重が高まるだろうと予測した。そこで昆布の佃煮の開発にベクトルを定め、他社と差別化するために「安価」「低塩」「長期保存」「個包装」を商品コンセプトとして標榜した。ところが、佃煮は原料を煮てつくるだけの加工食品であり、長期保存させるためには原料や調味料の配合を考慮した保存技術を確立しなければならない。しかし、佃煮を初めてつくろうとする同社にそんな知見や技術はなかった。まさにゼロからのスタートだった。