ギンビスは、安売りではなく商品価値を訴求する非価格販促を11年から本格的に取り組んでいる。低価格化は競争力を高めるのに手っ取り早い戦略ではあるが、その反面、体力勝負になり、ある程度のドミナント効果が期待できないと、かえって収益力を低下させる要因になる。また、不用意な値下げはブランド力の低下を招きかねない。同社は価格を維持したまま競争力を維持するために、各種の手を打っている。
従来はアスパラガスを使った調理例をパッケージ側面にイラストで載せていたが、表面と裏面に実写で掲載することで目に付くようにした。調理例は、消費者から直接提案してもらう消費者参加型のマーケティング方法をとっている。アスパラガスを生ハムで巻いたものや、「フレンチトースト風」「チョコフォンデュ」など、ユニークな調理例が数多く寄せられている。また、月に1回以上食品スーパー(SM)で試食デモ販売を実施し、食べ方の提案を行う地道な努力を忘れていない。試食会は消費者の好みをダイレクトに知ることができる機会にもなる。
9月に発売する「ミニアスパラガスベイビー4連」も非価格販促のための有力な商品となる。大豆・牛乳・卵のアレルギー成分不使用で、1歳児から食べることができる。子どもでも食べられるように食感を柔らかくし、形状も小さな手でも持ちやすいよう工夫した。シニア層に浸透しているブランド力を生かし「おじいさんや、おばあさんが孫のために買ってもらえる商品戦略」(同)をとっている。
アスバラガスは食品機械で作られている。だが、いくら工夫を加え工場の環境を整えても「その日の天候や湿度で食感にバラつきが出る可能性がある」(同)。食感のムラを最小限に抑える最後の砦が、職人の技術だ。気温などの生産条件を見極め、小麦粉に混ぜる水分量を経験で調整する。FA化が進んだ現在であっても、伝統の味と食感は、職人が下支えしている。