食品メーカー各社から発売されていたシナモンシュガーは、その使用形態などから当然のようにスパイス売り場に陳列されていた。スパイスなどの調味料は商品性格上、同素材を使って料理する人は手に取るが、目的なく足を運ぶ売り場ではない。また「ひと瓶まるごと使うような調味料ではなく、どうしても使い残すことになりがち」(ハウス食品)で、使用頻度を高めることが難しい商材の一つとなっていた。
扱いが難しい商材ではあるが、シナモンシュガーの使い方はヨーグルトやコーヒーに入れるだけや、トーストにふりかけて使う方法など、さまざまな用法がある。「同素材の使い方をお客さまにしっかりと提案できているのだろうか」と考えた営業マンが名古屋にいた。
この営業マンは、名古屋にある取引先の食品スーパーにシナモンシュガーをパン売り場に陳列する提案を試験的に行った。小さな什器(じゅうき)に商品を並べ、販促物となる手づくりのPOPを添えた簡易的なものだったという。陳列から一週間後、売り上げを確認すると、驚くような数字があらわれた。「パン売り場に並べる前の一週間の売り上げと並べた後を比較すると、15倍に伸びていた」(同社)。宝物を見つけた瞬間だった。
ハウス食品には販促方法や期間、展開した商品などをウェブ上で登録して全社で情報共有できるシステムがある。「名古屋での事例を目にしたスパイスの企画担当者が『おもしろい』と、他の支店でも同様の取り組みを行うように指示を出した。すると、実践した店のほとんどで売り上げが伸びた」(同社)という。