売上アップの教科書

販売促進の基本。業種・業態に共通する5つの手法(売上アップ1回目)

売上UPに直接つながるのは、やっぱり販売促進の取組み。
でも、販促企画って難しい。効果を出すのは大変、と思っていませんか?
きっちり効果をねらって企画をすれば、いつもの取組みも売上UPにつながる新企画になります。
販促企画の基本的な考え方と、業種別の実践例が書き込まれたアイデアノート。アイデアを実践にかえて、どんどん売上UPを目指しましょう。


前回の特集「店舗力診断シート」では、現状の問題点を把握するという趣旨でお伝えしました。

今回の特集「アイデアノート」では、問題点や課題の解決策としての販売促進企画にフォーカスを当て、具体的に企画を考えることを目的としています。言い換えるならば、未来に向けてゼロから企画を考えることになります。

第1回目は、 業種・業界に関係なく、共通した販売促進の基本的な考え方 を解説します。この考え方は、企画を検討する際のベースになります。

まずは、販促の手法から。

販促の手法は以下の 5つ に大分されます。
一番即効性があり、ターゲット問わず販売促進につながる方法は、金銭的なメリットを提供するやりかたです。

具体的には、「値引き」、「クーポン」の発行があります。

(1)値引き

その場で商品別決められた金額が引かれるか、一定の割合値引きを行うやり方です。

お客さまに対して値引きされるための条件をつけないのが一般的です。

(2)クーポン

(1)の手法にクーポンを提示するという条件をつけたものです。

二つの違いは、「値引き」は「クーポン」よりも、安くなるための条件が無い分、効果が出やすいというメリットがあります。しかし反面、「値引き」は安売りをしているイメージがお客 につきやすく、安くなることの慣れから、「値引かれないとむしろ高い」と思われるリスクもあります。

その点、「クーポン」は店頭に値引き告知がつかないため、クーポンを持っているお客さま以外は、「値引き」と比較すると安売りイメージがつかないメリットがあります。

いずれにしても、過度な金銭的なメリットの提供は、利益率を必要以上に下げるだけですので、留意する必要があります。

そのほか、金銭以外のメリットを提供するやり方もあります。

(3)プレゼントキャンペーン

一定の購買条件をつけて、もれなく景品をプレゼントしたり、くじ引で当たりが出たら景品をプレゼントしたりします。プレゼントの魅力をきっかけとして、購買条件以上の買い物をしてもらうことをねらいます。

ただし、予算以内で、いつもよりも多く買いたいと思えるくらい魅力的な景品を用意しないと、キャンペーン効果があがらないため、慎重に検討する必要があります。

(4) イベント

店頭もしくは店内の特定の売場や広いスペースで、お客さまが喜ぶような催し物を行い、来店するお客さまを増やすことをねらいます。 たとえば、店頭で試食会をしたり、時にはぬいぐるみショーをしたりします。

普段来店をしないお客さまの来店をねらう場合は、店内でイベントの告知を行ってもあまり効果はありません。この場合、普段来店していないお客さまに認知してもらえるように告知ができるかどうかが、成功への鍵となります。

(5)コンテスト

店頭で受付を行い、あるテーマや課題、例えば、店頭で販売されている食材を使ったレシピや、ぬり絵などのコンテストを開催するやり方です。優秀作品の発表や展示も店頭で行うことが大切です。このことにより、発表や展示を見るために来店する機会も増え、入賞者のお店に対するロイヤルティ(忠誠心、ファン度)も向上する効果もあります。

以上が販売促進企画の基本的な切り口になります。さらに、業種業態の特色を加味することで、より具体的企画を立てることが可能です。

次回以降、この特色をみていきたいと思います。

プロフィール

亀田 憲 (かめだ けん)

1975年生まれ。中小企業診断士。1998年(株)東急エージェンシー入社。セブン・イレブンのプロモーション企画に携わり、100本以上の販促企画を立案・運営。「セブン・イレブン10,000店企画」で2004年プロモーションアワード受賞。2007年より、ウォルト・ディズニー・ジャパン(株)にて商品開発、広告宣伝のマネジメントに従事。現在は大手スポーツメーカーで、マーケティング全体をマネジメントしている。
診断士としては、月刊「企業診断」での連載ほか、企画立案・ブランド構築を主テーマにセミナー講師としても活動。著書に「お金をかけずにスグできる!販促Q&Aノート」(同友館)がある。
著者コメント:「販促Q&Aノート」では、本連載のチェックシートを基礎力とした販促アイデアを70紹介。(1)1テーマが見開き完結、(2)実行までのステップを丁寧に解説した、買ったその日から行動できるアイデア集です。ぜひ、本連載と合わせてご活用ください。

お金をかけずにスグできる!販促Q&Aノート

掲載日:2012年1月17日