かつて福岡藩の重臣たちが“大名屋敷”を構えていたことに由来する福岡市の大名地区は、ファッションやグルメなど多くの店舗が建ち並び、若者たちでにぎわう活気あるエリアだ。トレンドの発信地ともいえる大名地区のオフィスビル内に2022年2月にオープンしたのが「CREATIVE ROOM」。全国的にも珍しい託児所付きコワーキング施設は、福岡県サテライトオフィス等開設支援事業を活用してスタイルクリエイトが設置・運営している。子育て中の母親をはじめ、自分らしく働きたいという女性たちを応援する同社の「ハブ(拠点)」となる施設だ。「子どもの様子を近くで見守りながらも仕事に集中できるスペースで、勉強会や講座などの会場にもなっている」と麻生氏は話す。
麻生氏は福岡県北九州市の出身。大学卒業後にアパレル関係の企業に勤務した後、結婚・出産で退職したが、その後まもなく離婚。長女を引き取り、職を探したが、「小さい子どもがいたら休むでしょう」などと冷たくあしらわれ、就活は困難を極めた。「それならば」と、ヘアメイクの技能を持つ知人と一緒に個人事業主としてウエディングプランナーの仕事をスタート。その後、再婚して2人目を出産したが、夫が立ち上げた会社の経営が行き詰まった。麻生氏は前職の経験を生かして新たにアパレル関係のEC事業を始めたところ、好調に推移。ウエディングプランナーの事業を併せて2015年9月にスタイルクリエイトを設立した。
起業後に離婚したが、シングルマザーとしてつらい経験は続いた。事務所の移転など事業拡大のため金融機関に融資の相談をしたときのことだ。「当時は離婚を前提に別居していたので、事情を説明すると、担当者の男性から『旦那さんがいなくて、どうやって返済するの』と言われた」。女性が融資を申し込む際、よくある話だ。麻生氏も少なからずショックを受けたが、「今に見てろよ」と気持ちを奮い立たせた。その数年後、事業を進める麻生氏のもとに、その金融機関から「融資させてほしい」との申し出があったという。