市場調査データ
古着店(2025年版)
2025年 4月 11日
古着の人気が高まっている。財務省の貿易統計(1988~2023年)によると、海外からの古着の輸入量は2022年に過去最高を記録。2023年は数量はやや減少したものの、円安の影響を受けて輸入金額は過去最高額となった。この人気を支えているのはどんなユーザー層なのか、利用者はどういった基準で古着店を選ぶのか。20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を行った。
1. 現在の利用状況

まず、古着店の利用状況をたずねたところ、最多回答が「利用したことがない」の454人(45.4%)となり、以降、「以前は利用していたが現在は利用していない」の288人(28.8%)、「年間で数回程度利用している」の147人(14.7%)、「半年に数回程度利用している」の74人(7.4%)が続いた。現在のユーザー数は「週に1、2回程度」から「年間で数回程度」までの利用者を合算した258人となり、利用率は4人に1人程度(25.8%)となった。
2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

古着店の利用状況を性別・年齢別に示したのが〈図b〉である。まず、男女間では女性の方が全体的に古着店を利用する頻度がわずかに低い。「以前は利用していたが現在は利用していない」と回答した割合も女性の方が高く、特に40代女性や60代以上の女性にこの傾向が見られる。一方で、男性の方が「週に1、2回程度」や「月に2、3回程度」の利用者が多い傾向にある。
年代間では、男女間以上に大きな差異が見られた。男女ともに、20代は古着店を利用する人が多い傾向がある。30代、40代は「以前は利用していたが現在は利用していない」人の割合が比較的高い。また、「利用したことがない」と回答した人の割合は、女性の場合は年代間による差異がそれほど大きくないが、男性の場合は40代から60代以上で大きな割合を占めている。これらの結果から、女性よりも男性の方が古着店を高頻度で利用する傾向があることと、若年層ほど利用する傾向が高いことが見て取れる。
3. 利用の基準(現ユーザーおよび利用経験者)

冒頭の設問で、古着店を利用している、または利用したことがあると回答した546人を対象に、古着店を選ぶ際に重視するポイントを聞いた。最多得票となったのが「低価格、お得感」の249人(45.6%)で、その次に「自分好みのスタイル」の114人(20.9%)、「家や職場、最寄駅といった生活圏内からの距離」の66人(12.1%)が続いた。価格的な面を重視して選ぶ人が多い一方で、自分の好みのスタイルやブランドで選ぶ人も一定数いる。
4. 性別・年齢別に見た利用の基準の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

古着店を選ぶ際のポイントを、性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。男女間での顕著な違いは、「自分好みのスタイル」を重視する割合である。特に40代~50代女性がこの点を重視しており、男性よりもスタイルを意識する傾向が強いことが分かる。一方、男性は「低価格、お得感」を重視する割合が比較的高い。
年代別で見ると、若年層ほど「低価格、お得感」を重視する傾向があり、特に女性の方がその傾向が顕著である。さらに、「家や職場、最寄りといった生活圏内からの距離」を重視する人は、50代以上の層でやや増加傾向が見られる。年齢が上がると移動の利便性を重視する傾向が出てくると考えられる。
5. 利用にかける費用(現ユーザーおよび利用経験者)

古着店を訪れた際に、1回で使用する金額を聞いた。最も多かった回答は「2,000円未満」の242人(44.3%)で、「2,000円~5,000円未満」の198人(36.3%)と合わせて、5,000円未満が8割以上を占めた。前項で「低価格、お得感」を重視する回答が多かったことを裏付ける。一方、一度で8,000円以上を利用するユーザーは49人(9.0%)にとどまっている。
6. 性別・年齢別に見た利用にかける費用の内訳(現ユーザーおよび利用経験者)

古着店1回の利用にかける金額を性別・年齢別に見たのが〈図f〉である。まず、男女間での違いは、女性はどの年代でも「2,000円未満」が最多数であるのに対して、男性は「2,000円~5,000円未満」の割合が大きく、特に20代~30代は「5,000円~8,000円未満」の回答も多かった。また1回の利用で12,000円以上を使用するユーザーの多くが男性であることも付け加えておきたい。年代間の違いについては、20代や60代以上は低額で抑える人が多く、高額を利用するユーザーは30~50代に多い傾向が見られる。
7. 利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

古着店を利用する理由をたずねたところ、最多の回答となったのが「お得な価格で購入するため」の301人(55.1%)で、次が「着なくなった服を買い取ってもらうため」の125人(22.9%)となり、経済的な理由が多い結果となった。一方で、「自分らしい服を探すため」の70人(12.8%)や、「入手困難になった服を購入できるため」の34人(6.2%)など、ファッション的な観点から利用しているユーザーも一定数いる。
8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現ユーザーおよび利用経験者)

古着店を利用する理由を性別・年齢別に見ると、「自分らしい服を探すため」や「入手困難になった服を購入できるため」という回答は男性に多い傾向がある。一方、女性は「着なくなった服を買い取ってもらうため」が多く、買い取りサービスを利用しているユーザーも多くいることが分かる。年代別では、20代は男女ともに「お得な価格で購入するため」が多い。同項目は男性の40代以上でも高い割合を占めている。
9. 今後の利用意向

アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向をたずねたところ、「全く利用したくない」が264人(26.4%)で最多回答となった。これと「あまり利用したくない」の135人(13.5%)を合わせると、およそ4割(39.9%)を占める。しかしながら「ぜひ利用したい」の139人(13.9%)と「どちらかと言えば利用したい」の239人(23.9%)の合計も378人(37.8%)となり、利用意向は大きく割れている。
10. 性別・年齢別の今後の利用意向

今後の利用意向を性別・年代別のグラフで示した。「ぜひ利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」を合わせた利用意向がある割合は、男性の方がわずかに高い傾向があり、特に20代、30代、60代以上で顕著だった。また、「ぜひ利用したい」という回答が、男女問わず、どの年代でも10%以上だった。
11. まとめ(ビジネス領域としての古着店)
「1.現在の利用状況」で見たように、現在の古着店の利用率は4人に1人程度にとどまっている。しかしながら、当サイトで2010年に行なった「中古衣料品店」の利用状況に関するアンケート調査では、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた利用率はおよそ18%だった。アンケートの規模や対象者、設問などが完全に同一ではないが、この14年でユーザーが増えたことは間違いなさそうだ。さらに、「9.今後の利用意向」では、利用意向があるという回答が4割近くに上っている。これらの結果から、今後しばらくは古着店に対するニーズが大きく下がることはないと見ていいだろう。
ビジネスとしての古着店に関しては、記述式の自由回答に成功のヒントが有りそうだ。「低価格で購入できるから」「ブランド品が安く買えるから」といった価格面に関する回答が多い中で、「自分だけのものが欲しいから」「レアな服があるから」など、古着店ならではの特別感を挙げた回答も少なくない。近年は入手困難なビンテージアイテムや、古着をリメイクしたオリジナル品を扱う古着店も増えつつある。価格や量で勝負するとなると大手と競合する可能性が高いが、古着を中古品として捉えるのではなく、他にない特別な服と捉えれば、新しいマーケットが見えてくるかもしれない。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)
調査概要
- 調査期間:
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2024年12月14日~12月30日
- 調査対象:
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国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人
- 調査方法:
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インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2025年4月