市場調査データ

ラーメン店(2023年版)

2023年12月20日

今や日本人の国民食とまで言われるようになったラーメン。多くの国民に愛されるラーメンを提供するラーメン店も、もはや日本人の食生活に欠かせない飲食店の一つと言えるだろう。独立開業の選択肢の一つとしても、昔から根強い人気を誇るラーメン店。20代〜60代以上の1000人にアンケート調査を行い、現在の消費者の利用状況やコロナ禍による意識の変化などについて探った。

1. 現在の利用状況

〈図a〉ラーメン店の利用状況(n=1000)
〈図a〉ラーメン店の利用状況(n=1000)

ラーメン店の利用状況について聞いた設問において、最多は「年に数回程度の利用頻度だ」の447人(44.7%)で、「月に1回程度利用している」の245人(24.5%)がそれに続いた。「かつて利用したことがある」が133人(13.3%)、「月に2、3回程度利用している」が112人(11.2%)となり、「週に1回程度以上利用している」というヘビーユーザーは計49人(4.9%)となった。

現在のユーザー数(利用率)は853人(85.3%)に上り、これは2008年に当サイトで行ったアンケート調査の結果の75%を10.3ポイントも上回っている。アンケートの対象や項目などに違いはあるものの、もともと高かった利用率がこの15年でさらに上がったと考えてまず間違いないだろう。

2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳

〈図b〉性別・年齢別に見たラーメン店の利用状況の内訳(n=1000人)
〈図b〉性別・年齢別に見たラーメン店の利用状況の内訳(n=1000人)

ラーメン店の利用状況の性別・年齢別の割合を示した〈図b〉を見ると、月に1回程度以上利用している定期ユーザー層の割合は、各年代とも男性の方が高くなっている。ただ、「年に数回程度の利用頻度だ」までを含むユーザーの割合で言うと、男女間における明らかな差はなく、30代と50代ではむしろ女性の方が高いという結果になった。

ちなみに08年調査時のユーザー割合は、男性が81%、女性が70%。この15年間で全体のユーザー比率が大幅に増加した背景には、女性ユーザー層の拡大があると言えそうだ。近年「女性一人でも入りやすい」をコンセプトとしたラーメン店が台頭してきたことなども、このような結果と無関係ではないかもしれない。

3. 利用の基準

〈図c〉ラーメン店の利用判断の基準(n=1000)
〈図c〉ラーメン店の利用判断の基準(n=1000)

ラーメン店を利用する基準に関しては、「味、美味しさ」が694人(69.4%)と7割近くを占め、「価格や量などのお得感」の162人(16.2%)を含む2位以下に大差をつけた。記述式自由回答欄でも、ラーメン店を利用する理由として「美味しさ」を挙げる声が圧倒的に多く、「自宅でも作れるが、本格的な味は店でしか出せない」「専門店で食べるラーメンは別格で、代替できない」などの声が寄せられた。昨今、あらゆる業界でユーザーニーズの多様化が目立っているが、ラーメン店を始めるなら「味、美味しさ」という普遍的なニーズは確実に押さえておく必要がありそうだ。

4. 利用にかける費用

〈図d〉ラーメン店1回の利用にかける費用(n=1000)
〈図d〉ラーメン店1回の利用にかける費用(n=1000)

ラーメン店1回の利用にかける費用については、「700円〜1000円未満」が657人(65.7%)と圧倒的多数を占め、「1000円〜1500円未満」の195人(19.5%)、「700円未満」の103人(10.3%)がそれに続いた。全体の95.5%がラーメン店1回の利用にかける費用を「1500円未満」とする一方で、「5000円以上」という高額利用者層は0%という結果に。このアンケート結果を見る限り、客単価をアップするよりも、いかに回転率を上げるかの方が、ユーザーニーズとの相性は良さそうだ。

5. コロナ禍の影響

〈図e〉コロナ禍がラーメン店の利用に与えた影響(n=1000)
〈図e〉コロナ禍がラーメン店の利用に与えた影響(n=1000)

コロナ禍がラーメン店の利用に与えた影響に関して、「利用頻度にも利用の基準にも影響はなかった」が404人(40.4%)で最多となった。一方で、それ以外のなんらかの影響があった層が6割近くに上っているというのも見逃せない点だ。しかも、そのうちのおよそ半分に当たる315人(31.5%)は「利用頻度が減った」と回答。コロナが飲食業に与えた影響の大きさをうかがい知れる結果となった。記述式自由回答欄では、「店内の密がスゴイので、感染が気になる」「コロナが収束したら食べたいが、まだ怖い」「不衛生なイメージがあって入りづらい」などのほか、「コロナの2年間、ラーメン店に行かなくても不自由しなかったので(今後も行くかどうかわからない)」などといった声も寄せられた。

ただ、「影響はあったが、今はまた元に戻った」が198人(19.8%)に及ぶ点は、業界としても明るい傾向といえそうだ。実際、「外食が減っていた分、お店の味が恋しくなっている」「注文は食券制、席は隣と仕切られていたりで、接触はラーメンの受け渡しの時ぐらい。感染リスクを考える上でも比較的安全な印象」といった声のほか、「コロナの制限が解除されたため、普段はあまり行かないが行ってみようかと思う」など、コロナ禍以前よりもラーメン店への興味を高めている層もいるようだ。「利用頻度に影響はなかったが、利用の基準が変わった」(61人)という層から寄せられた「衛生面に気をつけているような店ならまた利用したい」といった声に耳を傾ければ、リーチできる層の広がりが期待できるかもしれない。

6. 今後の利用意向

〈図f〉ラーメン店の今後の利用意向(n=1000)
〈図f〉ラーメン店の今後の利用意向(n=1000)

ラーメン店の今後の利用意向について、最も多かったのは「ぜひ利用したい」の480人(48.0%)。続く「どちらかと言えば利用したい」の317人(31.7%)と合わせると797人(79.7%)となった。記述式自由回答欄では「ラーメンはお米と同じくらいなくてはならないもの」「どうしても食べたくなる時がある」「飲んだ後にはつい食べたくなる」「美味しいと聞けば、確かめずにはいられない」などの声が寄せられた。

一方で、「どちらとも言えない」を選択した144人(14.4%)と、利用に消極的な層(5.9%)からは「塩分が気になる」「カロリーの割に栄養価が低い」「太る」といった健康面を気にする声とともに、「値上がりがひどい」「物価高についていけない」など近年の物価上昇を背景とする指摘も多かった。また、昨今のインスタント・カップ麺のクオリティの向上により、費用対効果を鑑みてラーメン店を選ばないといった趣旨の回答も散見された。

7. 性別・年齢別の今後の利用意向

〈図g〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1000)
〈図g〉性別・年齢別の今後の利用意向(n=1000)

ラーメン店の今後の利用意向について、性別・年齢別の割合を捉えた〈図g〉を見ると、「ぜひ利用したい」という割合は男女ともおおむね年齢が上がるほどに下がっていくという傾向があるようだ。これに「どちらかといえば利用したい」を加えた層の割合は、各年代ともに女性の方が高いという結果になり、その分男性は「どちらとも言えない」という層が多くなっていることがわかった。ラーメン店のビジネスを考える上で、そのターゲット数に男女間の差はあまりないと考えていいのかもしれない。

8. まとめ(ビジネス領域としてのラーメン店)

今回のアンケート調査の結果では、ラーメン店ユーザーは、15年前の75%から85.3%に増加した。このユーザー数を見るだけで、非常に多くの見込み顧客が期待できるビジネス領域と言っていいだろう。

ただし、その分競争相手も多い上に、ユーザーの舌も肥えていることが考えられる。しかも、そのようなユーザーに求められているのは「味」であり、その美味しさをなるべく低価格で味わいたいというユーザーの本音が垣間見えるアンケート結果となった。さらに言えば、過去15年のユーザーの拡大を支えたのは、非ユーザーからユーザーに転じた女性の力だと思われるが、その女性ユーザーの割合も各年代で8割前後となった今、非ユーザーをターゲットにしていくビジネスの伸び代も、さほど残されていないのかもしれない。ユーザーが多いからといって、決してビジネスの成功が近いということではなさそうだ。

ここまでに紹介した以外に、利用に積極的な層からは「夜遅くまで営業している」「一人でも気軽に入りやすい」「子供と一緒に入りやすい店には頻繁に行きたい」などの声が上がった。一方、利用に消極的な層からは「栄養の内訳が明確になっていないので使いづらい」「子供が小さくて連れていけない」「糖質制限をしている」「並んでまで食べたいと思わない」「一食にかける値段として妥当かどうか疑問」などの指摘があった。

こうした声をヒントに、ラーメン店の絶対条件である「味」にどんなプラスアルファの価値を付加していくかを考えることが、ラーメン店をビジネスとして捉える上での切り口になるかもしれない。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2023年7月13日〜7月20日

調査対象:

国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。サンプル数(n)1000人

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2023年12月

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