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令和7年 年頭所感:宮川正・中小機構理事長
2025年 1月 6日
新年、明けましておめでとうございます。令和7年の新たな年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
◆中小企業を取り巻く環境について
能登半島地震発生から1年が経過し、昨年秋には奥能登では豪雨被害も発生し多くの皆様が被災されました。改めて被災者の方々に対し心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早い復旧・復興のために尽力されている皆様方の努力とご尽力に対し、深く敬意を表します。
これまで日本は、能登半島地震に限らず、東日本大震災や熊本地震、各地での水害被害など、数多くの自然災害が発生してきました。私たち中小機構は、支援機関の一員として、被災地の皆様の復旧・復興に向け、出来得る限りのあらゆるご支援をさせて頂く所存です。
さて、昨年を振り返りますと、経済面では、新型コロナウイルスの影響が落ち着き、インバウンドや停滞していたサプライチェーンが復活し、活気を大きく取り戻した地域・業種がある一方、人手不足や賃金・物価上昇などの課題から、売上拡大しきれない地域・業種もあり、日本経済全体としては景気回復に向けた踊り場であり、まさに正念場にあるものと思います。
そうした中、今年、日本では、2025大阪・関西万博が開催されます。
◆中小企業が成長を遂げるために必要なこと
2025大阪・関西万博は、多くのビジネスチャンスも提供する一大イベントで、イベントのテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』ですが、このテーマには「中小企業が成長を遂げるために必要なこと」に通じるものが多くあります。
「今後も『持続的』に繋いでいくべき『いのち』に輝きを持たせ、種々の社会課題に対しても、『未来思考』で『社会をデザイン/具現化』していく」ことが今、企業に求められていることであり、中小企業がこれから大きく飛躍的に成長を遂げるために行うべきことと考えます。言い換えれば、我が国の中小企業は、これまで、長期にわたり「耐える経営」を余儀なくされてきました。しかし、ここに来て環境は様変わりし、日本経済はインフレ懸念や円安進行に見られるように、これまでとは異なる環境下に置かれています。そうした中で、成長に向けた「攻めの経営」のベクトルとして、万博テーマを共有できると考えます。
すなわち、経済状況がデフレを脱却、インフレ方向に振れようとしている今、「成長志向」であることが、何よりも重要です。そのことを念頭に、企業価値を高めるための販路開拓、設備投資、M&A等に果敢に挑戦していく必要があります。
また、コロナ以降、働き手が職場を選ぶ傾向がより顕著になってきました。経営者には、成長のための攻めの経営を進めると共に、地域への社会貢献などにも目を配りながら、職場での社員の働き甲斐や働きやすさ、いわゆるウェルビーイングを重視し、働き方改革を大いに推進していく必要があります。
目下、中小企業・小規模事業者は人手不足、賃金・物価上昇に対する価格転嫁、事業承継などの諸課題を抱えておりますが、企業価値をどのように高めていくか、働き方改革をどのように進めていけばよいのか、自らの経営をどのように自己変革させていくべきかを考える中で、解決方法を見出していくしかないと感じています。
◆成長志向の取組みに対する、中小機構の支援策
中小機構はこうした中小企業の皆様に寄り添いながら、幅広い支援により力強くサポートします。
(イノベーションの推進支援)
海外展開を含む販路開拓支援(J-GoodTech)、人手不足の解消や事業の省力化・生産性向上を目的とした設備投資やIT化・DX支援、次世代を担う人材や企業の創出を目的としたスタートアップ支援、経営革新も実現可能なM&Aを展望したファンド事業、地域経済活性化を目的とした高度化事業、補助金運営を通じた金融支援を行います。
(事業継続の推進支援)
地震や水害等の被害を受けた被災企業に対する仮設施設の整備や復興支援アドバイザーの派遣事業、被災リスクに備えた事業継続力強化計画の策定支援、事業引継ぎサポート等を目的とした事業承継・引継ぎ支援の他、経営者と会社の将来に備えた共済事業を行っています。
(経営力強化の推進支援)
後継者育成を目的とした中小企業大学校での人材育成支援や、経営課題解決のため伴走型で支援するハンズオン支援を行います。
そして、これらの支援事業を広く地域に展開するため、各地域の支援機関をサポートする支援機関向け支援事業を行います。
◆中小企業・小規模事業者の皆様へ
今、日本経済は、まさに正念場の岐路にあります。この正念場を乗り越えるには、中小企業・小規模事業者の皆様の攻めの姿勢への意識改革が必要です。そのためにもわれわれ中小機構は、皆様が成長・発展できるよう幅広い支援策を引き続き提供してまいります。
今年一年が、皆様にとって素晴らしい成果をもたらし、さらなる発展と成長の年となりますよう、心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。