食品事業者必見!知って得する豆知識

知って得する小売トレンド

2019年 10月 28日

グローサラントという言葉をご存じでしょうか?グローサラントとは、食料品店を意味するグロサリーとレストランをかけ合わせた欧米で使われている造語で、レストランに負けないクオリティの食事を、スーパーマーケットの店内あるいは店舗敷地内で提供するサービスを指します。加えて、スーパーマーケット店内で販売している商品を利用してメニュー提供しているのが特徴です。日本でも2017年後半から本格的なグローサラントが増えてきました。

成城石井は2017年9月、自社としては初めての試みとなる新業態の旗艦店「成城石井トリエ京王調布店」をオープンしました。

提供する料理メニューは、成城石井の商品を食材として使用しています。成城石井は、直輸入の子会社や食品の製造機能などの仕組みを自社で持つことにより、質の高い料理メニューの提案を実現させています。この新しい取り組みは好評で、2018年10月には千葉・新浦安に2店舗目をオープンさせました。

成城石井を凌駕するグローサラントを展開したのは阪急オアシスです。大阪・梅田のルクア大阪のキーテナントとして「キッチン&マーケット・ルクア大阪店」をオープンしました。

座席数は300席もあり、普通のレストランとの違いが分からないほどの広さがあります。
スーパーマーケットの機能も十分あり、新鮮な食材や惣菜、グロッサリーを買って帰ることもできます。物販エリアとダイニングエリアで食にまつわるすべてのシーンを融合させ、7つのエリア(コンセプト)で、買い物と食事の両方が楽しめます。

グローサラントはまだ頻繁に見かける業態ではないですが、スーパーマーケットの店内で「イートイン」コーナーが増えたことはお気づきではないでしょうか。グローサラントとの違いは、店内販売の弁当や総菜などを、家に帰らずそのまま食べてもらう「スペース」であるというところです。

ライフスタイルの変化により、「料理をする時間がない、後片付けをするのが面倒」という生活者が増加していることに対応して、「店内」で食事を完結してもらえるようイートインスペースを設置するスーパーマーケットが激増しています。コンビニエンスストアでも同様の動きがみられ、イートインスペースを設置する店舗が増加しています。

グローサラントとイートインに共通するのは、「時短」です。時短は、言い換えれば便利な商品であり、生活者は全ての食品に時短を求める傾向にあります。例えば鮮魚売り場では丸魚(加工していないそのままの魚)の売上は激減しています。切り身の魚も売り上げも減少傾向にあり、代わりにレトルトパウチの煮魚などは売り上げを伸ばす傾向にあります。

野菜売場、肉売場でも加工度の低いものは動きが鈍い傾向にあり、全ての売場で「時短」が求められていることが分かります。食品メーカーは、これから新しく商品開発を行う際は、生活者が時短商品を望んでいることを念頭に置く必要があります。使い切りサイズ、使いやすいパッケージなど、味そのもののこだわりに加え、使いやすさにも配慮した商品開発で売り上げを伸ばしましょう。

解説者

中小企業基盤整備機構 チーフアドバイザー 籾山 朋輝

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