食品事業者必見!知って得する豆知識
知って得する展示会活用
2019年 11月 20日
          
        販路開拓にはいくつかの手法があります。
1.直接アポイント
最もオーソドックスな手法です。DM、テレマ、訪問等を駆使し、未開拓の販売先に向けて営業をしていく方法です。最近はスーパーマーケット企業などではWEB上で商談設定する仕組みを構築するところも出てきており(資料1)、入念な準備をしての直接アポイントは成約率が以前より上がる可能性が出てきています。しかし、かかる手間と成果を秤にかけると必ずしも効率的な販路開拓手法とは言えないかもしれません。
          
          2.紹介
信頼関係がある上での紹介ならば、販路開拓に結びつく可能性は確実に高まります。よくあるパターンは、すでに取引のある食品メーカーが、異種カテゴリーのすぐれた商品を作る食品メーカーを紹介してほしいと小売バイヤーから依頼される場合です。小売バイヤーは、同業者から見て推薦できる商品を作っているメーカーは安心して取引できる可能性が高いと判断するのです。
小売バイヤー同士も取引先の情報交換は頻繁に行っています。既存取引先と誠実に付き合っていればいつか取引先小売バイヤーが新たな販路を紹介してくれるかもしれません。日頃の人脈づくりが大切です。
3.バイヤーからの取引依頼
小売バイヤーは店舗視察を頻繁に行っています。ライバル店舗の店頭で優れた商品を見つけるとバイヤー自ら取引依頼をかける場合があります。この場合取引条件(仕入れ掛け率、取引ロット等)が合えば、すぐに取引がはじまる可能性が高く、効率的な販路開拓手法といえます。しかし、バイヤーが店舗視察に訪れるような優れた小売業と取引していることが前提になりますので、最初のハードルは高いかもしれません。
4.展示会を活用する(今回のお話はこれ)
展示会には新規取引を前提に人が集まるので、最も効率的な販路開拓手法といえます。展示会と似た販路開拓手法に商談会がありますが、両者は基本的には別物ですので活用の際には事前準備や心構えの点で注意が必要です(資料2)。
  | 
        
            展示会  | 
        
            商談会(個別商談含む)  | 
        
          
|---|---|---|
目的  | 
            
            会社PR・名刺収集・マーケ  | 
            
            商談成約・マーケ  | 
            
          
時間  | 
            
            3分~10分程度  | 
            
            30分程度  | 
            
          
場所  | 
            
            騒がしい  | 
            
            原則個室又は商談フロア  | 
            
          
提案方法  | 
            
            ブースを介して商品説明  | 
            
            営業担当による直接提案  | 
            
          
説明  | 
            
            ポイントを簡潔に  | 
            
            ポイントを掘り下げて  | 
            
          
事後フォロー  | 
            
            初動が重要  | 
            
            中身が重要  | 
            
          
商談相手  | 
            
            不特定  | 
            
            特定(一対一)  | 
            
          
商談先調査  | 
            
            不可能  | 
            
            可能  | 
            
          
PRする商品  | 
            
            アイテムを絞って大量に  | 
            
            多品種少量  | 
            
          
提案書(商品カルテ・仕様書)  | 
            
            一般的なものを用意  | 
            
            企業ごとにカスタマイズ  | 
            
          
展示会は効率のよい販路開拓手法ですが、事前準備、当日運営、事後フォロー計画がしっかりできていないと出展効果が激減します。あるべきプロセスを見ていきましょう。
1.展示会・イベントに出展する目的・目標を決める
展示会も全国各地で数多く開催されています。来場対象者が自社の営業戦略に合っているかを見極めて出展の可否を判断しましょう。例えば食品を例にすると業務用展示会と市販用展示会では求められる商品スペックが全く違います。効率の良い展示会活用は展示会の特徴の見極めから始まります。
次に、具体的に名刺獲得枚数などの目標値を決めます。目標値をどのようにするかで用意する試食・サンプル数や当日の人員配置等全ての設計が変わります。数値が高ければいいということでもありません。どのような目的で展示会を活用するかで目標値は変わります。自社の商品PRが目的なら名刺獲得枚数は多め、ターゲットとする新規取引候補企業が絞られているなら名刺獲得枚数にこだわらず、応対対象企業を絞りながら営業をする方針でも良いです。なんとなく出展するだけでは成果は望めません。
2.会期終了後の営業計画を立てる(重要)
展示会会期中に商談が成立する確率は非常に低く、多くても名刺獲得枚数の10パーセント程度でしょう。展示会は事後フォローが最も大事です。しかし、この事後フォローを、業務多忙などを理由に実施しない出展社が非常に多いです。会期中の名刺管理(重要度のABCクラス分け)と終了後の見積もり・サンプル送付、そして訪問しての本部商談につなげます。展示会開催前に営業担当の営業余力を十分考慮し、事後フォローを必ず行う営業計画を立ててから展示会に臨みましょう。
3.展示商品、ブースデザイン、パンフレット等配布用資料の仕様を決定する
展示会では、出展商品を絞って陳列するほうが効果は上がります。バイヤーは多数の出展社を見ています。出展社が多いうえに、展示商品数が多いブースだとますます出展社の「売り」が分かりにくくなってしまうからです。加えてブース全体で商品特徴をアピールするよう心がけましょう。短いフレーズでキャッチコピーを大きく目立つ場所に掲げる、商品をイメージさせる色調にブース全体を統一する等ブース全体を使い切ることが重要です。
展示会は、最も効率的効果的な販路開拓手法です。ただし、効果が期待できるのは展示会開催前の準備・計画がしっかりできている場合に限られます。展示会終了後の営業計画をしっかりと立て、効率的な販路開拓を実践しましょう。
- 解説者
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中小企業基盤整備機構 チーフアドバイザー 籾山 朋輝
 
