売上アップの教科書

POPノウハウの活用で書ける、当たる手書きチラシ(POP6回目)

手書きPOPの設計図

2011年2月1日更新

これまで紹介してきた「売れる手書きPOP」を作成する技術を応用すると、手書きチラシやダイレクトメールなども書けるようになります。今回は、これまでにご紹介した手書きPOPのノウハウを活かした「手書きチラシ」の作り方について、ご説明したいと思います。

POPに限らず、チラシやダイレクトメールのような媒体、あるいはインターネットのページ構造においても、「スペースの割り振り」が重要なポイントとなります。

いざ販促ツールを作成しようとした場合、インパクトあるキャッチフレーズや、読ませる文章といった、構成要素にばかり目がいきがちですが、むしろ、どの項目にどのくらいの面積を割き、どこを目立たせるのか、その決め方のほうが、訴求力には大きな影響を及ぼしますと言えます。つまり、反響率を考えた場合、その媒体を見るお客様に対し、何を訴求したいのかが、明確になるスペースの使い方を工夫しなければならないのです。

さて、チラシというツールは、新聞折込やポスティング、街頭での手配りなど配布方法は様々ですが、「不特定多数の目に触れる」という点が最も特徴的です。お店の場所や何を売る店なのか、何も知らない人がチラシを見ることも珍しくないのです。

そこで、チラシで特に訴求すべき点は次の5つに絞られます。

  1. 何屋さんなのか
  2. 主力商品は何か
  3. 特典は何か
  4. 品揃えの豊富さ
  5. 店の場所や連絡先などの情報

主力商品が明確に訴求できていれば、自ずと「何屋さんなのか」がわかるようになります。そのため、チラシでは主力商品1アイテムに対し紙面の10%以上を占めるようにします。また、チラシを見たお客様が来店したくなるよう、(3)の特典はチラシの上部に5~10%の面積を利用して書くようにします。

さらに、他にどのような商品を品揃えているのかも訴求する必要があります。1アイテムあたり5%未満の面積で数多くの商品を記載します。B4片面で20~50アイテムが基本です。

店名や連絡先、営業時間や地図などもしっかり記載する必要があります。両面チラシの場合には裏面にも、紙面5~10%は確保しておきましょう。

今、投入されているチラシのほとんどは、パソコンでつくられたものですが、以上の内容は「手書きチラシ」の場合だけに当てはまるものではありません。パソコンで作成する場合でも面積配分が最も重要になるため、できれば広告代理店に一任するのではなく、ラフ案は自社で作成し、その面積どおりに作成してもらうと、反響率が良くなることもしばしばです。

なお、パソコンで作成したチラシと比較した場合、手書きPOPには次のようなメリットとデメリットがあります。

【メリット】

手書き文字であたたかい雰囲気を演出できる

細かい文字でも隅々まで読んでくださるお客様が多い

手書きチラシの枚数が少なく、他社のチラシと比べて目立つ

【デメリット】

書ける人が少ない

書き方によっては「安っぽく」見える

今はまだ、手書きチラシを採用する会社が少ないため、パソコン作成チラシから手書きチラシに変更するだけで反響率が上がるお店も少なくありません。自社で全てを書かなくても、パソコンで「手書き風」で作成してもらうことも可能なので、広告代理店に相談してみるとよいでしょう。

実際に自社で手書きする場合は、真っ白なコピー用紙に書いていきます。このとき、紙面の中でも文字にメリハリをつけ、読みやすくするために、3種類の筆記用具を使用します。

例えば、チラシのタイトルや商品名など大きめの文字には筆ペンを、商品ごとのキャッチコピーや価格などはサインペンを、商品説明などの小さい文字はボールペンを使用すると、文字の大きさや太さに明確な違いが出るため、読みやすくなるのです。原稿をモノクロで書く場合は、印刷する際にチラシ用紙をカラーにするとより目立ちますし、安っぽさ感も軽減します。ひと昔前のアナログ時代に戻って、チラシも手書きにしてみてはいかがでしょうか?

図1
図2
図3
図4

プロフィール

今野 良香 ( こんの りょうか)

船井総合研究所コンサルタント。成蹊大学経済学部卒業後、船井総合研究所に入社。食品製品小売業のコンサルティングに従事し、「手書きPOP」と「売り場づくり」による短期間・ローコスト・リニューアルで業績アップを実現してきた。POPおよび売り場づくりの研修も行う。著書に『誰でもすぐにつくれる!売れる「手書きPOP」のルール』など。

掲載日:2011年2月 1日