売上アップの教科書

なぜ今手書きPOPが注目されるのか?(POP1回目)

手書きPOPの設計図

2010年9月21日更新

最近、小売店で「手書きPOP」を多くみかけるようになったと感じませんか?

私は昨年、「売れる手書きPOPのルール」という本を出版し、手書きPOP研修も行っていますが、毎回本当に多くの方にご参加いただいています。その数、この1年で1,000名様を超えました。手書きPOPに対する関心が高まってきている証拠といえるでしょう。

ほんの数年前まではパソコンで作られたプライスカードやポスターが主流でした。なぜ今になって手書きが見直されてきているのか、そして、消費者の心を掴むようになってきているのかを、ライフサイクルの図を使いながらご説明しましょう。

ライフサイクル図

モノが不足していた「導入期」では、商品を並べていれば売れました。生活必需品でさえも容易に手に入らなかった「需要>供給」の時代には、POPはほとんど必要ではありませんでした。ただ、お客様に対して価格を明示するために、プライスカードが用いられたと考えられます。

やがて、モノが徐々に普及し始める「成長期」になると、お客様は商品の価格を気にするようになります。「需要=供給」の時代では、多くの店で同じものが買えるようになるため、消費者は、より安いものを求めるようになるのです。安さ感を演出するため、黄色い紙に赤文字で価格を大きく書いてあるPOPが代表的な例といえます。消費者の意識はまだ「価格の安さ」にあるため価値を高く見せる必要などなく、商品名と価格をわかりやすく、そして安く見えるようにすることが最優先だったのです。

そして、パソコンが普及してくると、それまではマジックペン等で書いていたPOPが当然のように活字化してゆきます。成長期には、店舗面積が広く、取扱い商品も多い店が増えてくるため、POPを1枚1枚手書きしている時間もなくなってきたのでしょう。この頃から急激にパソコンPOPが広まりました。

しかし、ライフサイクルが進み「成熟期」を過ぎると、どの店でも同じような商品を同じような価格で、同じPOPで提供するようになり店が平均化してきます。この平均化された店が増えると、消費者にとっては何の面白みもなくなってくるため、今まで以上に安売りのお店に足を運ぶようになるのです。店側の事情で言えば、より安価で販売するにはコストを削減する必要があるため、POPに対する工夫をすることさえなくなってきます。

その反面、消費者の商品に対する知識は高まるため、安価でも質の良い商品、高くても本当に良いモノに対しては、労力や時間をかけてでも求めるようになってくるのです。本来ならば、消費者のニーズが変わった時点で売り方、例えばPOPの書き方も変えるのが当然でしょう。それにも関わらず、いまだに商品名と価格だけをパソコンで書いたPOPを使用する店が多いのには疑問を抱きます。

今になって、なぜ手書きに回帰しつつあるのか?その理由が、先に述べた「消費者ニーズの多様化と変化」なのです。どこの店にもあるパソコンPOPには見飽きてきているのです。商品価値の伝わらないPOPには、見向きもしなくなっているのです。

では、ここで今の時代に合った「売れるPOP」のコツをご紹介しましょう!

商品名ではなくキャッチコピーで訴求を

第三者意見や受賞歴、マスコミに紹介された実績などを簡潔な言葉で「キャッチコピー」とするのが効果的です。価値を全面に訴求するため、このキャッチコピーにはPOP紙面の4分の1以上の面積を割きインパクトを与えるようにするとよいでしょう。効果的なコメントとして代表的なものとして、

  • 芸能人や著名人が絶賛、お取り寄せ
  • ネットランキングで1位を獲得
  • マスコミで紹介された実績

などが挙げられます。消費者がモノを買うときに知りたいのは商品名ではなく、それが「どのような商品なのか」ですから、POP紙面を商品名ではなくキャッチコピーで占めるようにするのです。

筆ペンを使った手書きPOP

下の2枚のPOPをご覧ください。左はマジックペンで書いたPOP、右は筆ペンで書いたPOPですが、内容は全く同じです。どちらの方が商品価値が高く見えるでしょうか?

近年の「和への回帰」ブームもあり、筆ペンで書いたPOPが消費者の共感を得ています。

手書きPOPの設計図

今後、計7回で「店が変わる! 成功する手書きPOPの設計図」と題し、手書きPOPで成功に導く術を詳しくご紹介してゆきます。

掲載日:2010年9月21日