林業の流通構造は、山林所有者、山林の管理者、製材所、建材メーカー、販売業者と多段階に分かれており、情報の伝達が属人的であるため、在庫や価格の透明性が低くなりがちと言われている。山林から切り出された原木は、原木市場に集められ、そこで中間流通業者が、製材所や建材メーカーなど需要家の要望に応じて調達する。需要家とあしだのような原木の供給事業者の間には情報が共有されていないため、需要と供給のミスマッチが往々にして発生する。例えば木工家具を製造する企業は「このぐらいの大きさの桜の丸太が欲しい」と思っていても、市場にその材がなければ取引は成立しない。後になってせっかく品質の良い桜の丸太が供給されても、買い手はおらず、結局バイオマス発電用としてチップになってしまう。芦田氏はこうした市場の構造を見て、「林業の川上と川下を結ぶプラットフォームが必要だ」と思い、「EFF 木材流通システム」を立ち上げた。
同システムは、パソコンやスマートフォンを介して、需要家が求める木材と林業側が供給できる木材をマッチングさせるというもの。仕組みとしては単純に見えるが、これまでIT系企業が林業業界に採用を働きかけても実現できなかった。関係者が多岐にわたる複雑さが障害となっていた。芦田氏は「林業に携わり、市場を理解している人間だからこそできる」と言う。AIによる需要予測や情報に基づいた適正価格の提示を行うことで、売る側、買う側の双方が納得できる透明な取引とするとともに、売買によって生じる見積書の作成や、納品書の作成などの事務手続きも行える。一気通貫のシステムとしているところが特徴だ。
まずは、約25社の需要家、市場、林業事業者に情報を登録してもらい、注文を受けることから始めていく。木材流通を効率化することは、関係する事業者にとって脅威にはならないのか。実際、この構想を立ち上げて以来、流通関係者の中から懸念の声が上がったこともあった。芦田氏は「この仕組みは市場を中抜きするものではない。市場はキーパーソンの役割を果たす」と断言する。市場は取引される木材の品質を見極めて、ユーザーに送る目利きの役割が求められる。「市場は商社機能やショールーム機能を持ち、全国の需要家に情報発信をすることで、取引先を拡大していける」と、市場の役割にも期待している。「まずは京都から、さらに東京都や奈良県などの自治体からも関心を持ってもらっている。地域ごとにスタートさせて、最終ゴールは全国展開」と、一歩ずつ着実に進めていく計画だ。