ビルマネジメント業務:ビルのオーナーに代わり、建物の管理や運営を行う。テナントの誘致、賃貸借業務代行、経理業務全般、ビルメンテナンス業者の統括などを主な業務とする。
警備 :対象施設に警備員が常駐・巡回する人的警備と、施設外から通信回線により24時間365日監視を行う機械警備がある。犯罪や事故を未然に防ぎ、建物や利用者の安全を確保する。
開業ステップ
(1)開業までのステップ
開業に向けてのステップは、主として以下のとおり。
(2)必要な手続き
衛生管理や設備管理については対象となる設備ごとに法で定められた資格があり、これらの業務を行う場合には有資格者が従業員にいることが必須となる。
そのほか、建築物衛生法に定められたビルメンテナンス業務を行う事業者については、都道府県知事登録制度がある。登録は義務ではないが、官公庁の入札への参加資格要件となる場合があるため、登録をした方が受注拡大につながる可能性がある。
設備管理業務に従事する場合に、必要とされる主な資格は次のとおり。
人手不足解消
ビルメンテナンスの対象となる大型の施設は今後も増加することが予想され、それに伴い清掃業務をはじめとしたビルメンテナンスの需要も拡大していくものと考えられる。しかし、人手不足が深刻化している現状では、人手が足りずに受注を断念せざるを得ないケースも多々発生していると言われており、早急な解決策が必要となっている。特に中小企業では大規模な現場に1社で対応することが難しいため、同業他社と連携して仕事を請け負うこともある。
人材の確保や定着のためには、従業員の労働条件や福利厚生等についても、会社としてできる限り配慮し、働きやすい環境を整えていくことが重要である。
必要なスキル
設備管理等に比べて清掃は軽く見られがちだが、実際には清掃する場所、建材、汚れによって清掃方法、洗剤、器具、機械を使い分け、限られた時間内に清掃を終わらせるなど、専門的な知識・技術・経験が必要とされる。ビルクリーニングの国家検定であるビルクリーニング技能検定は、自身のビルクリーニングの技能を証明するものであり、顧客に対するアピールポイントになる。特に、最も高い技能レベルである1級ビルクリーニング技能士は、都道府県知事登録を受けるために必要な清掃作業監督者には必要な資格でもある。
各種資格の取得により、スキルや知識のレベルアップが図られるとともに扱うことができる業務が増え、同業他社との差別化や事業拡大につながることが期待できる。
開業資金と損益モデル
(1)開業資金
人手のいる業種であるため、人員募集のコストを高めにみて開業モデルを作成した。
【参考】50名ほどのスタッフを擁し開業する場合の必要な資金例
(2)損益モデル
a.売上計画
年間営業日数を週休2日で換算して、売上計画を作成した。
b.損益イメージ(参考イメージ)
標準財務比率(※)を元に、法人形態の場合の損益のイメージ例を示す。
※財務標準比率はビルメンテナンス業に分類される企業の財務データの平均値を掲載。
出典は、東京商工リサーチ「TSR中小企業経営指標」。
c.収益化の視点
人件費が経費の大半を占める業態で、売上総利益率は19.3%に留まる。しかしながら、物件ごとに1~3年程度の年間契約を得て受託することが多いため、損益分岐点(利益がゼロとなる点)を上回った契約さえ確保できれば安定した資金収支が見込める強みがある。ただし、大口契約の解除等があると収益への影響も大きい点には注意が必要である。
損益分岐点を引き下げるには、専門技術者を集めて清掃や衛生管理、設備管理から警備、ビルマネジメント業務へと事業範囲を広げ、受託単価を引き上げるか、得意分野に専念した上で無駄な経費を極力排除した効率経営を進める、などの方策が必要となってこよう。
最近では慢性的な人手不足、最低賃金引上げの影響などの課題も多いが、業界大手となるディベロッパー系列会社をまとめても合計シェアは低く、地元の有力不動産オーナーとの人脈、ネットワークを背景とした独立系企業が、なお存続しやすい業種ではあるといえよう。
※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)