業種別開業ガイド
質屋
- 質屋営業法(略称:質屋法)によれば、「質屋営業」とは、「物品(有価証券を含む)を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもつてその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業」と規定されている。
- 総務省統計局「経済センサス(2009年調査、2011年公表)」によれば、質屋の事業所数は、2009年時点で2,151件であり、うち個人事業所が992件、法人事業所が1,159件となっている。規模別に見ると、従業者数5人未満の個人事業所が961件、法人事業所が878件、従業者数5~9人の個人事業所が30件、法人事業所が243件となっている。
従業者数5人未満の事業所の割合は85%(個人事業所の場合は97%、法人事業所の場合は76%)、従業者数10人未満の事業所の割合は98%(個人事業所の場合はほぼ100%、法人事業所の場合は97%)であり、法人・個人ともに、小規模な事業単位の多い業種であるといえる。 - 質屋が引き受ける品物は、在籍している鑑定士の得意分野にもよるが、一般に、時計、貴金属、カメラ、楽器、バッグ、衣料品、内装品、金券など多岐にわたる。
1.起業にあたって必要な手続き
質屋を開業する場合は、内閣府令で定める手続きにより、営業所ごとに管轄の都道府県公安委員会の許可を受ける必要がある。ただし、許可申請前の3年以内に罰金刑に処せられた者や住所の定まらない者などは許可を受けることができない。営業所を移転する場合には、管理者を新たに設け、管轄の公安委員会の許可を受けなければならない
このほか、通常の開業手続きとして、個人であれば所轄税務署や税務事務所への開業手続き等が必要となる。法人であれば必要に応じて、健康保険・厚生年金保険関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きを行う。
2.起業にあたっての留意点・準備
質屋においては、開業後も多くの条件が定められている。主な条件は以下のとおりである。
- 営業所ごとに管理者を定めること。
- 質契約、質物返還、流質物処分を行った場合は、内閣府令で定められた様式により備えられた帳簿に必要事項を記載し3年間保存すること。
- 質契約をしたときは、質屋は質札(預り証)を質置主に交付すること。
- 質屋は、利息やその計算方法、流質期限、営業時間などを営業所内に掲示すること。
なお、質料の条件は質屋営業法により定められているため、限度を超えることがないか十分に留意する必要がある。
また、持ち込まれる品物の値付けには高度なノウハウが必要とされる。このため品物の真贋鑑定に精通した人物の確保が質屋経営には不可欠である。鑑定士は独自に募集する方法もあるが、良い鑑定士が見つからない場合は、ランチャイズに加盟することで自らがノウハウを取得する道もある。
このほか、質物に対して資金を貸し付けられる資金を充分に保有していることも当然ながら必要である。
3.必要資金例
店舗面積10坪の質屋を開業する際の必要資金例
4.ビジネスプラン策定例
1)売上計画例
2)損益計算のシミュレーション
- ※質料収入は、「質料率:月5%、質契約期間:3ヶ月、質契約金額平均:5万円」にて計算
- ※人件費は、鑑定士1人を想定
- ※初期投資一括計上分は、開業費の金額
- ※減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの
- ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。
また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
最終内容確認2014年2月