新型コロナウィルス関連

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う納税猶予の特例

※財務省・総務省から4月23日に公表されたパンフレットの内容をもとに作成しています。

2020.5.2更新

1.制度概要

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置により、来客者の減少、事業の休業を余儀なくされ、事業収入が大幅に減少している事業者の納税負担を軽減するために、無担保かつ延滞税なしで1年間、納税を猶予する特例が設けられます。

ポイント

  • 新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少があった事業者
  • 1年間、国税、地方税の納付を猶予することができる
  • 担保の提供は不要で、延滞税もかからない

2.対象となる方

以下の(1)(2)のいずれも満たす方(個人法人の別、規模は問わず)が対象となります。

(1)新型コロナウイルスの影響により
 令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べておおむね20%以上減少していること。

(2)一時に納税を行うことが困難であること。
(注)「一時に納税を行うことが困難」かどうかの判断については、少なくとも向こう半年間の事業資金を考慮に入れるなど、申請される方の置かれた状況に配慮し適切に対応

【具体的には】
「事業等に係る収入」とは、法人の収入(売上高)のほか、個人の経常的な収入(事業の売上、給与収入、不動産収入等)をさします。

上記の要件をいずれも満たせば以下の方も特例対象となります。

  • 対象期間が黒字である方
  • フリーランスの方
  • パートやアルバイトの方を含む給与所得者のうち、確定申告により納税されている方
  • 白色申告の事業者の方

3.対象となる国税、地方税

  • 令和2年2月1日から同3年1月31日までに納付期限が到来するほぼすべての税目
     国 税:所得税、法人税、消費税等(印紙で納めるもの等を除く)
     地方税:住民税、事業税、固定資産税(証紙徴収の方法で納めるものを除く)
     社会保険料についても、基本的に「国税の徴収の例による」こととされているため同様の扱いが可能になります。
  • これらのうち、既に納期限が過ぎている未納の国税・地方税(他に猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用することができます。

4.申請手続等

  • 関係法令の施行から2か月後、又は、納期限(申告納付期限が延長された場合は延長後の期限)のいずれか遅い日までに申請が必要です。
  • 申請書のほか、収入や現預金の状況がわかる資料を提出する必要がありますが、提出が難しい場合は口頭による説明でも可能です。

【収入や現預金の状況がわかる資料とは】
 例えば、売上帳や現金出納帳、預貯金のコピーなどが該当します。

※国税の「納税猶予申請書(特例猶予用)」の作成方法が、YouTubeの「国税庁動画チャンネル」に公開されています。

5.納税猶予を受けるためには

「申告手続等」に記載の通り、申請期限がありますので、早めに準備を行いましょう。

①まずは、納税猶予の対象になるか確認してみましょう。
 上記「対象となる方」に該当しますか。事業等に係る収入の減少割合を確認してください。

②収入や現預金の状況がわかる資料を準備しましょう。
 売上帳や現出納帳、預貯金のコピーを用意し提出できるようにしてください。

③国税局猶予相談センター(国税の納税猶予の場合)に電話し相談しましょう。
 ご自身の住所(所在地)を所轄する国税局猶予相談センターに電話し、納税猶予のための相談をしてください。

【受付時間】 9:00~17:00(土日祝日を除く。)
(出典:国税局「国税局猶予相談センターのご案内」)

④納税の猶予申請書を作成します。
国税庁ホームページでは、新型コロナウイルスの感染症の影響により納税の猶予を申請す
る場合の申請書類の記載例を公開しています。

⑤納税猶予の申請書と収入や現預金の状況がわかる資料を所轄の税務署に提出します。
 なお、税務署の窓口は混雑すると予想されます。猶予申請は、なるべくe-Taxによる電子申告や郵送で提出しましょう。

文責

税理士法人坂本&パートナー所長
税理士・中小企業診断士
山尾秀則

関連記事

関連リンク