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「第45期経営後継者研修」終講式、研修の成果を発表:中小企業大学校東京校

2025年 7月 22日

修了証書を手に記念撮影する研修生の画像
修了証書を手に記念撮影する第45回経営後継者研修の研修生

中小機構が運営する中小企業大学校東京校(東京都東大和市)は、7月17、18の両日、「第45期経営後継者研修」のゼミナール論文発表会と終講式を行った。参加した経営者候補20人が10カ月間の研修の集大成となる論文を披露し、奥田裕二校長から修了証書を授与された。終講式に先立ち2日間にわたってゼミナール論文発表会が行われ、ゼミ講師や派遣元企業の社長らが見守るなか、研修での学びを通じてまとめた自社の将来構想と自社に戻ってからの自身のアクションプランを発表した。

櫻井健斗氏の発表画像
論文を発表する三洋輸送機工業の櫻井健斗氏

兵庫県尼崎市で荷物用エレベーターの設計・製造・メンテナンスなどを手掛ける三洋輸送機工業株式会社の櫻井健斗氏は「10カ月前、後継者の役割は事業を引き継ぐだけと考えていたが、『自分の意志で会社を動かしていく』という気持ちに変わった」と語った。研修での自社分析を踏まえ、アクションプランを披露。「従業員の喜びや悲しさ、悔しさ、辛さを一緒に共感できる経営者になりたい」と熱く語った。研修を終えた櫻井氏は「いちばんよかったのは仲間とのつながりを得られたこと。経営の知識もつくが、自社分析などの学びを通じて、仲間たちと語り合った時間はかけがえがなかった」と話していた。

こうけつ倫平の発表画像
コーケツの纐纈倫平氏

一方、岐阜県可児市の金属加工業、株式会社コーケツの纐纈(こうけつ)倫平氏は、自身の趣味である釣りとスキーに当てはめて自身のアクションプランを作り上げた。「この2つの趣味には攻略性と不確定性という2つの要素がある。会社経営にも同様の要素がある。『好きなこと』であれば、仮説・検証を繰り返して突き詰めることができる。思考錯誤を重ねながら、会社を『好き』になりたい」と語った。精勤賞を受賞した纐纈氏は研修について「特に財務は非常に勉強になった。社員の立場ではバランスシートまでたどり着かないが、資本の考え方や資本を踏まえた利益率のことなどを学び、ものの見え方が変わってきた」と振り返っていた。

奥田校長の修了証書授与画像
奥田裕二校長が一人ひとりに修了証書を授与

終講式で、奥田校長は「10カ月間の研修を走り切り、達成感を感じている人も多いかもしれないが、これからが経営人生の本番。これからの人生をどう乗り切るかは、この10カ月のことを考えてもらえれば答えが出てくる。実務の世界に入ると、『研修で聞いたことがある』ということが出てくるが、それを自社に当てはめて考えられるようになる。研修を通じて、経営に対するアンテナと感度、そして仲間を手に入れることができた。これからも仲間たちと支え合ってほしい」と語った。

経営後継者研修は全国9カ所にある中小企業大学校のうち、東京校のみが実施している経営者育成プログラム。事業を引き継ぐ後継者に必要な知識や能力を実践的に授けるカリキュラムが特徴で、毎年10月から翌年7月まで集中して学ぶ。これまでに900人以上が卒業し、全国各地で経営者や経営幹部として活躍している。