中小タスクが行く!

第26回:インバウンド対応編

2020年 2月 17日

第26回:インバウンド対応編 経営のお悩みスバッと解決 中小タスクが行く!

インバウンドを取り込む効果的なサービス設計とは?

とある観光地のホテルに宿泊した中小タスク。朝、フロントでホテルの社長に「おはようございます。タスクさんは先にコーヒーでしたね」と声をかけられる。きめ細やかな対応に感激しつつ、朝食の蕎麦をすする中小タスク。だが、時間のわりにフロントを出入りする客が少なかったことが気にかかる。そこに、先ほどの社長と息子の専務の会話が聞こえてきた。「近所にホテルが2つもできて、価格競争になったからな。」そうぼやく社長に専務も「値下げにも限界あるし、そもそも2階の和室が人気ないんだよ」と顔をしかめる。そこに「集客にお困りならインバウンドを意識してみてはいかがでしょう?」と割り込む中小タスク。「このホテルに泊まって、きめ細やかなおもてなし精神に感銘を受けました、近年訪日外国人の数は飛躍的に増え、2019年にはなんと3188万人にも達しています。これを見逃す手はありません。」と目をキラリと輝かせる中小タスク。

増え続ける訪日外国人旅行者数

近年、「インバウンド」が注目を集めています。 インバウンドとは、一般に外国人観光客が日本を訪れることを指します。政府観光局の調査によると、2019年の訪日外国人の数は3,188万人※1で過去最高を記録。インバウンドによる消費額は4.8兆円で、2011年の8,135億円から8年連続で増加しています※2。

また、政府は2016年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で、訪日外国人数を2020年に4000万人、30年に6000万人に増やすことを目標として掲げており、この先もインバウンドの要となる観光戦略のいっそうの強化が期待できます。

3大消費項目は「買い物」「宿泊」「飲食」

ちなみに、2018年度のインバウンド消費額の構成比を見てみると、「買物代」が34.7%と最も高く、次いで「宿泊費」が29.3%、「飲食費」が21.7%となっています※2。こうした消費に関わる企業にとって、インバウンドの増加は大きなビジネスチャンスと言えます。

インバウンド対応、3つのメリット

ところで、インバウンド対応は企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?代表的なものは以下のとおりです。

(1)国内の消費額の減少をカバーできる

インバウンド市場は拡大傾向にあるため、少子化などで先細りする国内の消費額の減少をカバーできます。

(2)比較的競合が少ない

早い時期に着手すれば、比較的競合が少ないことから、市場におけるシェアを高めることができます。

(3)国内再認知

例えば「忍者体験」「和食づくり体験」といった外国人観光客に向けた体験型サービスなどが彼らの間で話題になることで、国内消費者にも企業や商品・サービスが再認知されます。

では、打つべき具体的な策は? マンガの続きを見てみましょう。

「インバウンドか…でもどうやって?」と質問する社長に、中小タスクは4つのポイントを伝授。「1つ目は外国人受け入れの環境整備。外国語やWi-Fi、キャッシュレスの対応。2つ目はインターネットを活用したマーケティング。SNSなどで外国語で情報発信すること。3つ目は体験型サービスの導入。日本文化を経験してもらうことでリピーターになってもらうこと。2階の和室が不人気ということだが、ベッドと布団の部屋を作ってみてはどうか。そして4つ目は外国人客だけでなく日本人客にも配慮すること。双方が満足できる環境づくりが重要です。」それをきいた社長と専務は「うちならそば打ちなんかどうだろう。やってみよう!」と意気込む。その後日。中小タスクが再びホテルを訪問すると、中小タスクのアドバイスを実践し、客が増え、ホテルの中が賑わっていた。海外からの客も増え、ベッド付きの和室も好評だと声をそろえる社長と専務。「人気のそば打ち体験をやってみませんか」と社長がタスクに声をかけたところ、そこにタスクはおらず、既にそばを打っているタスクの姿が目に入ってきたのであった。

サービス設計、4つのポイント

マンガに登場したビジネスホテルの取組みは、インバウンドの呼び込みに一定の効果を発揮しました。このように成果につなげるには、次の4点に留意してサービス設計を行う必要があります。

その1 外国人観光客の受け入れ環境整備

外国人観光客がストレスなく滞在できる環境を整えましょう。具体的には以下のような対策が挙げられます。

(1)多言語に対応できる環境を整備

<例>

  • 館内の案内表示を多言語対応に変更する
  • 外部講師を招いてスタッフの英会話による接客研修を行う
  • タブレット端末等による翻訳ソフトの使用
  • 外国人スタッフの採用
  • 簡単な会話文を英語や中国語でボードに記載し指差しで会話ができるようする

など。

(2)無料Wi-Fi環境を整備
(3)クレジットカードやQR決済など、キャッシュレスへの対応
(4)特定の宗教や考え方に根差した食事への対応

<例>

  • ハラール(イスラム教〔ムスリム〕の戒律で食べることが許された食べ物)対応のメニュー設定
  • コーシャ認定(ユダヤ教で定める食べ物に関する規定)対応のメニュー設定
  • ベジタリアンやヴィーガン用のメニュー設定

など。

取組み内容によっては、国の助成金・補助金を活用するのも一つの方法です。過去には宿泊施設においてWi-Fiの整備、自社サイトの多言語化などインバウンド対応事業の経費の一部を支援する補助金が実施されています(「宿泊施設インバウンド対応支援事業」/観光庁)。

その2 インターネットを活用したマーケティングの実施

比較的手軽で低予算から始められるSNSやブログ等、インターネットを活用した集客、販売促進、ブランディング等に取り組みましょう。

その3 体験型サービスの導入と越境EC対応

日本ならではの体験をしたいと考える訪日観光客は多いでしょう。例えば、サービスであれば、「うどんづくり体験ができる宿泊施設」「古民家をリノベーションしたゲストハウス」など、体験型のサービスを導入することで、訪日リピーターになってもらう取り組みが考えられます。

物販であれば、越境ECに対応することで、体験した商品を帰国後にリピート購入してもらうことにつながります。

その4 国内日本人旅行者と外国人観光客の対応

国内日本人旅行者と外国人観光客と並行してサービス提供する場合には、両者に満足してもらえる環境づくりに留意しましょう。外国人観光客にばかり目が向いてしまい、日本人旅行者への対応が疎かにならないようにする注意が必要です。

インバウンド対応は今からでも遅くない!

コラム前半で紹介した予測推移の表を見ても分かるように、インバウンド対応は今から取り組んでも遅くありません。また、海外・国内のすべてのお客様に対するサービスのありかたを経営者が再考する機会でもあります。これから来る様々な機会に向け、戦略を立てていきましょう!

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