起業マニュアル

起業アイデアを見つけるには

起業アイデアを見つけるには

起業の原点は「アイデア」です。はじめからやりたいことや夢があればそれに向けて動き出せますが、それがない場合、起業のアイデアを見つけることが最初のステップになります。ここでは、起業アイデアを見つけるために役立つ2つの視点と、アイデアを発想し続けるポイントを紹介します。

アイデアを見つける2つの視点

起業のアイデアは、「自分のニーズ」と「社会のニーズ」の2つの視点で考えると、ビジネスとして成り立つアイデアを発想しやすくなります。
起業は、趣味ではなくビジネスです。自身のやりたいことだとしても、世の中の人々が「欲しい!使ってみたい!」と思う製品や商品、サービスでなければ、利益を生み出し事業を継続することができません。
アイデアを思いついた時、「自分のニーズ」と「社会のニーズ」がどちらも満たされているか、自身に問いかけてみてください。

自分のニーズに目を向ける

自分のニーズを探るには、起業の動機と自身の特徴を明らかにすることが大切です。
「いつか起業したい」「好きな事を仕事にしたい」「技術・資格を生かしたい」など、起業に興味を持ったのには、何かきっかけがあるはずです。まずは、自分の動機を整理することで、起業の方向性が見えてきます。
しかし、ダイレクトに起業に繋がるような「好きなこと」や「技術・資格」は、誰もが最初から持っている訳ではありません。

そのような時は、これまでの人生を振り返り、自身の本質的な特徴を把握すると良いでしょう。例えば、「熱中していたことは何か」「どんな困難を乗り越えてきたか」などです。
特性を理解していれば、熱量を持って取り組める分野や他者には無いスキルを発想の起点にしてアイデアを考えることができます。

社会のニーズに目を向ける

社会のニーズを探るには「身近な困りごと」と「世の中の困りごと」に目を向けるという2つの方法があります。
「身近な困りごと」とは、今自分が困っていることや家族、友人が困っていることです。些細なことを含めれば、人は必ず困りごとを抱えて生きています。起業アイデアにつながりそうな困りごとが無いか、観察をしてみると良いでしょう。
なかなか、困りごとが見つからない時は、自身の「怒り」を考えるのも一つの手です。怒りの裏には何かスムーズに事が進まない課題が隠れている可能性があります。

「世の中の困りごと」とは、少子高齢化、労働生産性の低下、人手不足、環境汚染など、より大きな社会課題のことです。
社会を課題視点で見渡すと、そこには本当にさまざまな問題がひしめいています。言い換えれば、こうした問題を解決できる起業アイデアを社会が求めているということです。自分の強みで解決できそうな社会課題は無いか考えてみると良いでしょう。

また、新たな規範や規制緩和など、社会や市場の変化によってもたらされるビジネスチャンスを的確に捉え、そこに生まれる新たなニーズに基づいて起業アイデアを検討する方法もあります。

アイデアを考え続けるポイント

起業アイデアには、正解がありません。「これだ!」と思うアイデアがすぐに見つかることもありますが、大抵、見つからずに思い悩んでしまうことが多いでしょう。
しかし、そこで自分は起業に向いてないのではないかと、落ち込まなくても大丈夫です。優れた起業家も、何百というアイデアの発想や試行錯誤があってアイデアを発見しています。
発想のスランプに陥った時は、(1)問いを見直す、(2)発想を放置する、(3)行動してみる、の3つを試してみるとよいでしょう。

1.問いを見直す

物事を考えるとき、問いが間違っていたり曖昧だったりすると、いくら考えても答えにたどり着けず、答えを見つける前に思考体力が尽きてしまうことがあります。
例えば、「自分のやりたいことは何か?」を考えるとしましょう。やりたいことが無い場合、この状態のまま考えていてもなかなか答えが出てきません。「どんなときにテンションが上がるか」「時間を忘れて没頭していた経験は何か」など、問いをより具体的なものに変換すると考えやすくなります。

2.発想を放置する

時間をかければ必ずしも優れたアイデアが発想できるとは限りません。アイデア発想に行き詰ったら一度距離を置くことで、新たな視点や発想が得られることがあります。
何気なく生活をしている中で知った情報や体験が発想の要素になり、アイデアに思わぬ化学反応が起こることも少なくありません。
アイデアを見つけるには、発想力も大切ですが、アイデアが進化するのをじっと待つ忍耐力も必要です。

3.行動してみる

考えていても、「これだ!」思うアイデアに出会えない場合、知識や経験が足りないだけの可能性もあります。
知らないことや経験をしていないことは、やりたいと思うことすらできません。興味を持ったものの本を読んだり、人に聞いてみたり、経験をしたり、実際に行動を起こすと良いでしょう。自分に今までに無い刺激を加えることで、思考の幅が広がり、アイデアを発想しやすくなります。

起業アイデアは、一日にしてならずです。なかなかアイデアが見つからないと起業を諦めたくなってしまうかもしれませんが、日頃からアンテナを張り、自分と社会それぞれのニーズを満たす起業アイデアはないか考えると良いでしょう。