起業マニュアル

アイデアの発想方法

アイデアの発想方法

ビジネスアイデアの発想方法やツールは、さまざまなものが開発されています。「デザイン思考法」や「オズボーンのチェックリスト」「スキャンパー」「マンダラート」などは聞いたことがあるかもしれません。ここでは、特別な知識や道具を必要せず、いつでもどこでも簡単にアイデアを発想できる手法「4つの視点」を紹介します。

「4つの視点」とは?

4つの視点とは、「鳥の目」「虫の目」「サカナの目」「コウモリの目」の4つです。
思いついたビジネスアイデアや既存の商品・サービスについて、この4つの視点で考えることで、これまで考えていなかった新たな視点を得ることができます。

1.鳥の目

「鳥の目」とは、鳥が空から地上を見るような視点、つまり境界を越えた視点で考えてみるということです。アイデアに含まれる「特徴」「他と異なる点」に注目し、その本質が「他の地域」や「他の分野」で活用できる事例はないかと考えてみることです。
一見関係がないと思われるような分野であっても、大きく視野を広げることでヒントが見つかるかもしれません。

例えば、赤ちゃん向けの食器で考えてみましょう。その特徴は、握りやすく落としにくいつくりになっているということです。この特徴に注目すると「力がなくても、器用に指を使わなくても、握ることができる。」という本質があることがわかります。
鳥の目で見て、そのような状態にある怪我をした人や高齢者、障害者でも使いやすいものが生み出せないか、というヒントが得られます。

2.虫の目

虫の目」とは、虫のように至近距離から、ものごとをながめてみる視点です。例えば、家族のように身近な個人や住んでいる地域、顔が思い浮かぶくらい親しい人のニーズを探ってみるということです。この人なら絶対に買ってくれるというものがあったとして、少しずつ対象を拡大していくときに何が必要かを考えていきます。

まず、自分なら絶対に欲しいと思う商品とその商品の特徴を列挙します。例えば、ビジネスシューズが欲しい場合、高価でもかまわない、こだわりの本革製品、蒸れない、臭わない、暖かい、通気性が良いなどのように列挙します。
次に、年齢や性別、仕事内容、年収など、自分の属性を列挙し、似たような属性の人が買うにはどのようなものであれば良いかという視点で、その商品に改良を加えます。例えば、値段はあまり高くないほうが良い、合成皮革でも良いなどです。この要領で対象を徐々に拡大し、同時に修正をしていけば、多くの人に支持される商品になる可能性が高まります。

3.サカナの目

「サカナの目」とは、一箇所にとどまって川の流れを見続ける魚のように、時代の流れをさかのぼったり、将来動向を予測してビジネスを考えるやり方です。
分野にもよりますが、5年から10年くらいのスパンで考えると良いでしょう。法律や制度の変更に対応したり、人々のニーズや関心の変化を予測したり、長期的かつ大きな視点で考えることからヒントが得られます。

例えば、以下のように発想を連鎖させていきます。

  1. 食品の安心安全をもとめる意識が今後高まっていくであろう。
  2. センサー技術を応用すれば食品の生産・流通・販売経路を簡単に「見える化」できる。
  3. 消費者がスマホでQRコードを読み込むと、これらのデータを見ることができるサービスを開発しよう
  4. 付加価値を感じてくれて、多少価格が高くても生鮮食品などが売れるようになれば、差別化要因・優位性を獲得できる。

4.コウモリの目

「コウモリの目」とは、逆転の発想や異なる分野との融合を考えてみることです。
AはBであるという固定観念や先入観、伝統的な作法や商慣習などを批判的に再検討したり、一見無関係や無縁のことがら同士を結びつけることで意外な価値が生まれたり、潜在ニーズを満たすサービスが生まれることがあります。

例えば、一粒1000円の超高級イチゴや立ち食いフレンチレストランなどです。イチゴは1パック300円くらいとか、フレンチは座ってゆっくりきちんと食べるものという固定観念を覆しています。
お肉は新鮮なほうが良いという価値観も、熟成肉の登場で変わりつつあります。また、医療と事務機器の融合によって、長時間座っていてもまったく疲れない椅子などが商品化しています。アップルストアの接客手法はフォーシーズンズホテルに学んだというエピソードもこの事例です。

4つの視点の活用法

これらの視点は一つずつ個別に検討するだけでなく、組み合わせて活用することで、アイデアの発想や発散を幅広く行うことができます。また、一人で考えるより仲間同士で検討することでより多くの新たな切り口を見出すことができます。特別なスキルや道具は不要な手法ですので、一度試してみてください。