起業マニュアル

ビジョン・目標の書き方

ビジョン・目標の書き方

「ビジョン・目標」は、将来のあるべき姿のことです。
事業計画のひな型によっては、「ビジョン」と「目標」がそれぞれ別の記載欄で設定されているものもあります。
ここでは、「ビジョン・目標」とは、中長期的な事業計画のゴール設定として考えましょう。起業する事業で何を達成したいのか、より具体的に設定することが大切です。

ビジョン・目標の設定とは

1.ビジョン・目標の設定方法

ゴールを具体的に示す設定方法には、言葉で表現する定性的な目標と数字で表現する定量的な目標があります。

(1)定性的な目標の設定

事業でめざす将来の姿を、言葉で表現します。例えば、「産地にこだわった手打ち蕎麦店を全国展開させる」とか「学生一人ひとりの目標設定にコミットできる学習塾」といった表現でまとめてみましょう。もう少し平易なかたちで「地域で行列のできる人気店になる」、「同業種では地域で一番店になる」といった設定でもよいでしょう。

起業仲間や従業員と一緒に事業を始めるのであれば、目標を聞いたときに、自分も参加したいと思うようなワクワク感があると一緒に事業する人たちと共感できる目標になります。

(2)定量的な目標の設定

数字で示す場合は、「売上高○○万円」や「経常利益○○万円」というかたちで具体的な売上高、経常利益などの数値を使って記載します。その他にも市場全体や商圏における占有率、顧客獲得数、展開店舗数などの項目も考えられます。例えば、「5年後にお店を任せられる店長を育成し、地域に10店舗展開する」といった書き方が考えられます。

目標は、可能な限り定性的・定量的な目標の2つを設定できるとよいでしょう。

2.ビジョン・目標の設定タイミング

事業計画を書き始めるときは、「ビジョン・目標」の数値がはっきりと決まっている場合もあれば、ぼんやりとイメージしている場合もあると思います。ぼんやりとイメージしている状況でも一度、仮でゴールを決めてみましょう。  
ゴール地点である「ビジョン・目標」を設定することで、スタート地点である「現状」とのギャップが明確になります。例えば、ビジョン・目標を「売上高3億円」とした場合と、これを「売上高3百万円」とした場合では、それぞれ取り組む内容が変わってくるはずです。
まずは、どれだけの売上を目標にするかを決めるだけでも、具体的な事業内容が明確になってきます。

ビジョン・目標の記載ポイント

ゴールの決め方に、ルールはありません。人によって、「無理を承知で、高ければ高いほど良い」という考えもありますし、「達成可能なラインで設定すべき」という考えもあります。
迷った場合には、無理に高い目標を掲げる必要はありませんが、がんばって達成できるような目標がよいでしょう。計画どおり達成できた場合には、経営者自身の達成感やモチベーションの向上にもつながるはずです。
また、理想とする大きな目標と、より現実的な目標に分けて考えることも一つの方法です。例えば、金融機関向けに提出する事業計画書であれば、現実的な目標を掲げて、実現性を重視した目標設定を優先することも考えられます。