販路開拓・商品開発
中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)
2025年5月内容改訂
少子高齢化により国内需要が縮小しているわが国では、経済のグローバル化が加速しています。マーケットの拡大やビジネスチャンスを求めて海外進出を行う中小企業は増加しており、成長が著しく人口も増加している途上国や新興国に進出する企業も増えています。
JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は、自国の開発課題を解決したい途上国の開発ニーズと、開発課題解決につながる中小企業の製品/サービス・技術・ノウハウをマッチングさせ、JICAが開発課題の解決に向けた事業を民間企業に委託するODA(政府開発援助)事業です。
ODAのように、公的資金を使用した開発支援というと、以前は空港や道路を建設したりなどインフラ整備のイメージが強かったのですが、現在は中小企業の技術移転を通じた支援など、より身近なものになってきています。本事業に中小企業が参加することで、関係国での知名度向上、金融機関からの信用力向上、海外に関心の高い新卒人材からの求人の問い合わせ等につながるケースも見られています。
2018年7月30日からJICAの民間企業提案型スキームは、対象者や支援内容をよりわかりやすくするために、「中小企業・SDGsビジネス支援事業」としてリニューアルされました。さらに、2022年度の公示では開発途上国の開発需要の高まりとSDGs・ESG経営・インパクト投資の加速を受けて、「利便性の向上」「ビジネス化の一層の促進」「開発インパクトへの貢献」を目的に一部制度改編が試行的に実施されました。また、2024年度より本格的に新制度を整備。対象国の基礎情報を収集したうえで、ビジネスモデルの検証を主な目的とする「ニーズ確認調査」と、ビジネスモデルをより精緻化させてビジネスプラン(事業計画)の策定を主な目的とする「ビジネス化実証事業」という2つの事業が開始されました。

「中小企業・SDGsビジネス支援事業」を活用するメリット
海外展開に関するさまざまな支援事業がある中、ここでご紹介する「中小企業・SDGsビジネス支援事業」(JICA Biz)には4つの大きなメリットがあります。
- 本事業に参画することで、民間企業のみでは困難な現地パートナーへのアクセスやJICAとの信頼関係がある途上国政府・自治体・業界団体などの紹介を得られること。JICAは日本全国15カ所以上の拠点だけでなく、世界約100カ所の拠点を有しています。また、政府関係省庁とのパイプを持つ人的ネットワークと、さまざまな専門知識や経験を持つ人材を保有しており、海外展開に当たっても貴重な情報源となります。
- 開発途上国におけるビジネス化に向けた的確なアドバイスを開発途上国でのビジネスに造詣の深いコンサルタントから得られること。
- JICAと共同で成果を発信することで、国内外の認知度向上やパートナー拡大が期待できること。
- 累積採択数1,573件のうち中小企業への支援は1,228件あり、事業終了後の約8割の企業がビジネス活動を継続中であるという、豊富な採択実績と高い事業継続率があげられます。
「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の対象となる法人区分
この事業の対象者は、中小企業、中小企業団体(事業協同組合他)、中堅企業、非営利法人、大企業と幅広い区分の法人が対象となっています。対象国のビジネス環境の確認状況に応じて、ニーズ確認調査とビジネス化実証事業を選択できます。

資格要件
応募資格としては、対象国での持続的なビジネスの実現には、安定した経営基盤及び実証された製品・技術・ノウハウであることが重要なため、財務要件及び提案製品・技術・ノウハウの国内外いずれかの販売実績が必要となります。
- 法人設立後1年以上であること
- 財務指標に該当しないこと
- 当期純利益が過去3期連続マイナス(当期純利益が直近の過去3期連続で赤字)
- 直近の年商の3年平均が2,000万円/3,000万円未満
- 直近期(一期1年)の貸借対照表で債務超過
- 外国会社等に該当しないこと
- 法人として破産や更生中、税金の未納がないこと
- 措置を受けていないこと
- 暴力団関係にないこと
- JICAとの間に未履行債務がないこと
- 過去3年において採択取消・辞退等がないこと
応募要件
「応募の要件」として、以下1~6の何れかに該当する応募は一律不採択になります。応募後についても、これら要件の欠如・喪失や発覚した際は、採択解除・契約解除事由に該当する場合があります。
- 各スキームの対象と法人区分が合致していない応募
- 不備・虚偽応募
- 提案企業(共同企業体含む)に提案製品/サービス、技術・ノウハウの販売実績がない応募
- 本支援事業の複数応募(中小企業及び中堅企業に該当しない営利法人は対象国且つ提案製品が異なることを条件に複数応募可)
- 他機関及びJICA他事業との重複応募
- 環境社会に重大な影響を及ぼす応募

まとめ
- 中小企業の海外展開には、相手国政府関係省庁のパイプを持つ「中小企業・SDGsビジネス支援事業」がおすすめ
- 中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)には、対象国の基礎情報を収集したうえで、ビジネスモデルの検証が目的の「ニーズ確認調査」と、 ビジネスモデルをより精緻化させビジネスプラン(事業計画)の策定が目的の「ビジネス化実証事業」がある
- 対象国での持続的なビジネスの実現には、安定した経営基盤及び実証された製品・技術・ノウハウであることが重要なため、財務要件及び提案製品・技術・ノウハウの国内外いずれかの販売実績が必要となる