2026年1月内容改訂
多くの企業で、従業員の高年齢化が課題となっています。日本の生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)は今後も減少が見込まれ、社会の高年齢化はさらに進むと考えられます。こうした状況を踏まえ、企業には65歳を超えても安心して働き続けられる職場環境づくりが求められます。
高年齢者の就労を促進するための職場環境づくり
これからの日本では、高年齢者が意欲と能力のある限り、年齢にかかわりなく働くことができる「生涯現役社会」を実現することが求められています。このような社会の要請を踏まえ、65歳以上への定年引上げや、高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を推進する際に利用できる「65歳超雇用推進助成金」を解説します。
65歳超雇用推進助成金の概要
65歳超雇用推進助成金には3つのコースがあります。まずは、各コースの概要を確認しておきましょう。
※支給額は各コースで最大のものを記載しています。ケースにより支給額は異なりますので、詳細は厚生労働省の案内をご確認ください。
では、3つのコースの内容を詳しく見ていきましょう。なお、ここで取り上げるのは代表的な要件のみのため、詳細は厚生労働省ホームページやご案内PDFをご参照ください。
また、3つのコースはいずれも、指定された期間内に必要書類をそろえ、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の該当する都道府県支部・高齢・障害者業務課(東京および大阪は高齢・障害者窓口サービス課)へ申請してください。
65歳超継続雇用促進コースの助成を受けるには
(1)助成を受けるための要件
65歳超継続雇用促進コースの助成を受けるには、以下ア~キのすべてを満たしている必要があります。
ア.労働協約または就業規則により、次のA~Dのいずれかを実施していること
-
A.65歳以上への定年引上げB.定年の定めの廃止C.希望者全員を対象とする66歳以上への継続雇用制度の導入D.他社による継続雇用制度の導入
Dは、定年後等に雇用されることを希望する者を、その定年後等に他の事業主が引き続き雇用することにより、雇用を確保する制度の導入をいいます。なお、導入する制度や対象となる高年齢労働者の人数により、助成金の額が異なりますので、「(2)支給額」の項目を参照してください。
イ.制度を規定した際に一定の費用が発生していること
制度を規定した労働協約または就業規則の作成・改正、いずれの制度を導入すべきかの検討等、制度導入に際して費用がかかっていることが必要です。ウ.制度を規定した労働協約または就業規則を整備していること
すでに労働協約や就業規則がある企業であれば、これらを改正して所定の制度を規定する必要があります。エ.高年齢者雇用等推進者の選任および、高年齢者雇用管理に関する措置を実施していること
高年齢者雇用管理に関する措置は、下記A~Gのうちひとつ以上を実施している必要があります。
-
A.職業能力の開発および向上のための教育訓練の実施等B.作業施設・方法の改善C.健康管理、安全衛生の配慮D.職域の拡大E.知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善F.賃金体系の見直しG.勤務時間制度の弾力化
オ.高年齢者雇用安定法の規定に違反していないこと
60歳未満の定年を定めている場合や、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない場合が規定違反に当たります。違反の有無は、制度の実施日から起算して6か月前の日から支給申請日の前日までの間で判断されます。カ.法令に基づいた適切な高年齢者就業確保措置を講じていないことにより、当該就業確保措置の是正に向けた計画作成勧告を受けていないこと
キ.60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
この雇用保険被保険者は、1年以上継続して雇用されている者でなければなりません。支給申請日の前日が判断の基準になります。(2)支給額
実施した内容や年齢の引上げ幅に応じて、下表の金額となります。
(3)助成を受けるための手続き
助成金の支給を受けようとする事業主は、定年引上げ等を実施した後、一定の期間(約4か月)以内に必要書類をそろえて、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構に申請します。
詳しくは下記を参照してください。
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの助成を受けるには
(1)助成を受けるための要件
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主が、一部経費の助成を受けられるコースです。対象となる措置は以下のとおりです。
-
ア.高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善イ.高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度等の導入または改善ウ.高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善エ.高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入または改善オ.専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善カ.法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入
また、助成を受けるには、次のア~オのすべてを満たしている必要があります。
ア.「雇用管理整備計画書」を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に提出し、計画内容について認定を受けていること
「雇用管理整備計画」は、高年齢者の雇用の機会を増大するための能力開発、能力評価、賃金体系、労働時間等の雇用管理制度の見直しもしくは導入、または医師もしくは歯科医師による健康診断を実施するための制度の導入に取り組むものである必要があります。イ.「雇用管理整備計画」に基づき、高年齢者雇用管理整備の措置を実施し、その措置の実施の状況、および雇用管理整備計画の終了日の翌日から6か月間の運用状況を明らかにする書類を整備していること
ウ.雇用管理整備の措置の実施に要した支給対象経費を支給申請日までに支払ったこと
エ.高年齢者雇用安定法の規定に違反していないこと
60歳未満の定年を定めている場合や、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない場合が規定違反に当たります。違反の有無は、制度の実施日から起算して6か月前の日から、支給申請日の前日までの間で判断されます。オ.60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
この雇用保険被保険者は、1年以上継続して雇用されている者でなければなりません。支給申請日の前日が判断の基準になります。(2)支給額
支給の対象となる経費は以下のとおりです。
-
A.雇用管理制度の導入等に必要な専門家等に対する委託費やコンサルタントとの相談に要した経費B.措置の実施に伴い必要となる機器、システム及びソフトウェア等の導入に要した経費
支給額は、支給対象経費の60%(中小企業以外は45%)となります。支給対象経費は、初回に限り50万円とみなされますので、支給額は30万円となります。2回目以降の支給額は、AとBを合わせて50万円を上限とする経費の実費の60%となります。
(3)助成を受けるための手続き
申請は、2回に分けて手続きが必要です。まずは、計画開始の3か月前の日までに、雇用管理整備計画の認定申請をします。計画期間内に支給対象措置を実施した後、計画期間終了日の翌日から6か月後の日の翌日~その2か月以内に支給申請をします。
詳しくは下記を参照してください。
高年齢者無期雇用転換コースの助成を受けるには
(1)助成を受けるための要件
高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。助成を受けるには、次のア~カのすべてを満たしている必要があります。
ア.「無期雇用転換計画書」の計画内容について認定を受けていること
イ.有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度を、労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定していること
有期契約労働者としての通算契約期間が一定期間内であること等、制度要件を満たす者を無期雇用労働者に転換するものに限ります。ウ.雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること
エ.転換された労働者を、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、その労働者に対して転換後6か月分の賃金を支給すること
オ.高年齢者雇用安定法の規定に違反していないこと
60歳未満の定年を定めている場合や、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない場合が規定違反に当たります。違反の有無は、制度の実施日から起算して6か月前の日から支給申請日の前日までの間で判断されます。カ.法令に基づいた適切な高年齢者就業確保措置を講じていないことにより、当該就業確保措置の是正に向けた計画作成勧告を受けていないこと
(2)支給額
支給額は、対象労働者1人につき30万円(中小企業以外は23万円)です。支給申請年度における対象労働者数の上限は、1適用事業所あたり10人です。
(3)助成を受けるための手続き
申請は、2回に分けて手続きが必要です。まずは、計画開始の3か月前の日までに、無期雇用転換計画の認定申請をします。無期雇用労働者への転換後、賃金を6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請をします。
詳しくは下記を参照してください。
まとめ
-
高年齢者の雇用促進のための職場環境づくりに取り組むと、65歳超雇用推進助成金を受けられる65歳超雇用推進助成金には3コースあり、定年引上げや無期雇用への転換の推進を支援している65歳超継続雇用促進コースは、定年制度の改正により65歳を超えて働き続けられる制度をつくるための助成である高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者が就労を継続するための職場環境づくりを支援するための助成である高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上の労働者の安定した雇用を促進するための助成である毎年度、内容が変更されるため、最新の情報を確認することが重要である
page
top




