新製品のアイデアを考える良い方法があれば教えてください。

当社は中小玩具メーカーです。取引先から話題となる新商品をいつも求められています。新商品会議を定期的に社内で開催していますが、新商品のアイデアが従業員からいつも出てきません。新商品のアイデアを考える何か良い方法はないでしょうか?

回答

新商品会議で従業員の参加態度が消極的な理由は、会議のやり方に問題がある場合もあります。先ず会議のやり方を見直してから、紹介するアイデア発想法を活用して新商品会議を行ってみましょう。

「新商品のアイデアが従業員からいつも出てこない」ということですが、従業員が新商品会議に消極的なのは、会議のやり方が関係することもあります。まずは会議のやり方を見直しましょう。

【会議を見直しましょう】

新商品のアイデアを発想する新商品会議では、参加している従業員のみなさんが楽しく会議をしていますか?楽しい会議になっていなければ一番の問題でしょう。なぜなら、楽しい会議でなければ、その場から楽しい玩具のアイデアは生み出されないからです。それに新商品のアイデアを生み出す会議の場合、情報共有や問題把握を目的とした会議と違い、創造力をフルに発揮させなければなりません。そのため、会議はお堅い雰囲気ではなく、従業員が自由に発想できるように、肩が凝らないソフトな雰囲気でなければなりません。会議では、以下の点に留意してみてください。

  1. 部下が上司に気兼ねして発言を控えないように、会議では上司と部下が対等であることを会議参加者で共有化しましょう。
  2. 従業員に積極性がなくなるので、奇抜なアイデアを出した従業員を否定しないようにしましょう。
  3. 肩に力が入ってしまうため、「ヒット商品のアイデアを提案する」などのプレッシャーを与えすぎる言葉を会議冒頭で言わないようにしましょう。
  4. 会議の雰囲気が和み、アイデアを生み出す触媒にもなるため、冗談を禁止しないようにしましょう。
  5. 特定の人や声の大きい人ばかりがしゃべらないように、会議の司会者は参加者全員からアイデアを引き出してください。
  6. 自由闊達な会議にするため、会社内の序列順位で席に座らないでください。

【アイデア発想法の紹介】

アイデア発想法は世の中には豊富にありますが、よく使用される代表的なアイデア発想法を2つ紹介します。

1.ブレイン・ストーミング

ブレイン・ストーミング(ブレスト)は、広告会社のアレックス・オズボーンが開発したアイデア発想法です。あるテーマについて、会議のメンバーが思いつくまま自分のアイデアを出していきます。進め方は、次のようになります。

  1. グループを編成し、グループのメンバーが自由奔放に発言する
  2. できるだけ多くのアイデアを出す(質より量)
  3. 出てきたアイデアの組み合わせと改善を行う

ただし、進めるにあたってブレイン・ストーミングには、4つの原則があります。

  1. 自由奔放
    思いついたアイデアは周りを気にせずどんどん発言する。笑われるのではないか、意味がないのではないかと余計なことは考えない。
  2. 批判厳禁
    他人が提案したアイデア(発言)を批判してはいけません。批判されると、批判された本人はアイデアを思いついても、次から発言を控えるようになります。
  3. 便乗歓迎
    他人が発言したアイデアに便乗して、そのアイデアから連想したことを発言する方法も歓迎します。この原則でアイデア同士が議論の中で結合したり、自分のアイデアが他人の意見に触発され発展したりすることもあります。
  4. 質より量
    良い悪いは意識せず、とにかくアイデアをたくさん出します。たくさんアイデアを出すことで、多角的な視点のアイデアから、最適なアイデアが選べます。

以上のブレイン・ストーミングの4原則をわかりやすく表にしました(表1)。

ブレーンストーミング実行の原則 ブレーンストーミング実行の原則
表1 ブレーンストーミング実行の原則

2.チェックリスト法

アイデアを発想する切り口となる質問項目のチェックリストを利用し、さまざまな角度の切り口から多面的に問いを答えていく過程で、発想を膨らませます。アレックス・オズボーンが作成した9つのチェックリストが有名です。

  1. 転用したら?
    そのままで新しい使い道は?他分野への適用は?改造したらどんな用途があるか?
  2. 応用したら?
    似たものはないか?何かの真似をできないか?誰か見習えないか?過去に似たものはないか?
  3. 変更したら?
    意味、色、動き、音、匂い、様式、型などを変えられないか?新しくひねることができないか?
  4. 拡大したら?
    追加できないか?もっと時間は?頻度は?強度は?高くできないか?長くできないか?付加価値は?材料をプラスできないか?誇張したら?複製できないか?
  5. 縮小したら?
    何かを減らせないか?小さくできないか?濃縮できないか?低くできないか?短くできないか?軽くできないか?省略できないか?分割できないか?
  6. 代用したら?
    誰か他の人を?何か違う物を?他の材料は?他の素材は?他の口調は?違う製法を?他の動力なら?他の場所では?他のアプローチは?
  7. アレンジし直したら?
    構成要素を取り替えてみたら?他のパターンは?他の配置にしてみたら?順序を入れ替えたら?原因と結果をおきかえたら?ペースを変えたら?スケジュールを変えたら?
  8. 逆にしたら?
    逆にできないか?正反対にできないか?マイナスをプラスにできないか?後ろ向きにできないか?上下をひっくりかえしたら?左右逆にしたら?役割を逆にできないか?
  9. 組み合わせたら?
    ブレンドできないか?ユニットを組み合わせると?目的を組み合わせたら?アイデアを あわせてみると?

ブレイン・ストーミングやチェックリスト法のほかに、ブレイン・ライティングやマトリックス法、NM法などのアイデア発想法もあります。ブレイン・ストーミングは比較的取り組みやすいと思います。これまで新商品会議にアイデア発想法を採用していないと、慣れるまで会議がまごつくかもしれませんが、新商品会議を活性化するために挑戦してみてください。

回答者

中小企業診断士 原田 英明

同じテーマの記事