ビジネスQ&A

生産設備の地震対策はどうすればよいでしょうか。

当社の工場は、独自の生産設備を開発して生産を行っています。建物については地震対策を行っていますが、生産設備は時々、更新や入替を行うので十分とは言えません。このため、大きな地震が発生すれば生産停止は避けられません。もし、地震が発生した場合に、被害を最小とし早期に生産が再開できるように、事前に配慮すべき対策を教えてください。

回答

生産設備の地震対策の基本は、レイアウトです。そのうえで、機械の固定、配管やダクトの固定やフレキシブル化、付帯設備の固定、備蓄品の保管などの地震対策を行います。なお、生産設備の更新や入替をした場合は、地震対策の面からレイアウトを確認します。

貴社はすでに建物については地震対策を行っているとのことですので、生産設備に対する地震対策に焦点を当ててお答えします。 なお、生産設備の地震対策と言っても、その上位には、会社の震災に対する基本方針、事業継続計画(略称:BCP)などがあります。これらと整合をとって、生産設備の地震対策を検討するようにしてください。

【生産設備レイアウト】

地震対策の基本は生産設備のレイアウトです。機械の点検スペースを確保し、部材、半製品の運搬移動、一時保管などが効率よく出来るようにします。また、配管、ダクトなどが最短距離となるような機械のレイアウトとします。さらに、避難のための通路、避難スペースなどを確保しておきます。

生産設備の更新、入替を繰り返すと、いつの間にか、機械や配管などのレイアウトが入り組んでしまい、効率的な地震対策ができなくなります。このようなことのないように、生産設備の更新、入替等のつど、レイアウトを確認するようにします。

【機械の地震対策】

機械への地震対策は確実に固定し、地震が発生した時に、倒壊、損壊、移動が起きないようにします。機械の固定は、地震時の危険性に応じて各機械のランク分けをして行います。

地震対策事例 地震対策事例
図1 地震対策事例

【配管、ダクトの地震対策】

地震で意外に多い被害が配管、ダクトの被害です。機械が動いてしまい、その接続部が損壊してしまう、機械と配管の揺れが異なるために、その揺れの影響を受ける部分が損壊してしまうなどがあるためです。

このため、機械の揺れが影響しない部分は確実に固定するようにし、機械の揺れの影響を受ける部分は、揺れの違いを吸収できるようなフレキシブルな配管にします。

なお、配管、ダクトを天井からつり下げている場合がありますが、この場合は、落下しないように確実に固定し、さらに飛び跳ねを抑える取り付けなどをします。

【付帯設備の地震対策】

付帯設備の地震対策は、やはり確実に固定することです。これには、給水タンク、クーラー等の室外機、キャビネット、ラック、ロッカーなどがあります。

【備蓄品の保管】

危険性の高い高圧ガス、危険物の容器、ボンベなどは、確実な耐震対策を行った場所、できれば工場建屋とは別の場所に保管するようにします。

また、地震発生後に必要となるガス検知器や防護服といった緊急対応用品は、工場建屋の外に保管します。避難した後に取り出せなければ困るためです。

回答者

中小企業診断士 芳賀 知

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