新生活様式に対応する店づくり

小売店舗が取り組むこと

2020.5.15

新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けた業種の一つに小売業があります。お客様が来店し従業員が対応する店舗では休業や感染防止策の徹底に迫られました。
ここ数日は感染者数が減少傾向にありますが、気を緩めれば新たな感染を生むかも知れない中で小売店の皆様は不安やストレスを抱えていると思います。今回はSARSの経験も参考に、新型コロナ終息後につながる事業展開について案内したいと思います。

SARSを乗り越えた経営者が経験から得たもの

2002年から中国本土、香港、台湾などでSARS(重症急性呼吸器症候群)が多発しました。病原体はSARSコロナウイルス。感染者の致死率は10%前後で特に高齢者の致死率が高い傾向にあり、多発した地域では経済や市民の活動に非常に大きな影響がありました。

中国の経営者からSARSを乗り越えたポイントを聞いてみると4つありました。
ポイント1:冷静に対応すること
ポイント2:情報を正確に把握すること
ポイント3:方針を明確にして現場に任せること
ポイント4:新たなビジネス(価値創造)の機会にすること

これらのポイントを参考に私たちに出来ることを考えたいと思います。

ポイント1:冷静に対応すること

このポイントが最も重要です。冷静に対応する大前提は『健康であること』です。健康であるために『身体面』『精神面』両方の対策が必要です。

『身体面』では、アルコール等による消毒、マスクやゴム手袋、ゴーグルの着用、ソーシャルディスタンス確保のための並び位置を示すテープ、レジでは飛沫防止のための透明シートや釣り銭トレーの活用があります。情報を視覚や聴覚に訴えるためポスター等の掲示物や店内放送による注意喚起も有効です。また小規模な店舗では、可能であれば小規模の強みを活かし、入店人数の制限、非接触型体温計による入店時の体温チェック、試着室等を使用毎に消毒することなどもが考えられます。さらに新型コロナウイルスに感染しても重症化しないためには、経営者や従業員自身が栄養のある食事をとり充分な休息することも大切です。

『精神面』では、経営の悩みを一人で抱えて必要以上に不安にならないようにすることが大切です。まずは身近な人に話を聞いてもらう、また同業社から対策を聞くなど悩みを話し合う他にも公的支援機関の相談窓口を利用することも有効です。

ポイント2:情報を正確に把握すること

情報を正確に把握するためには、適切な情報が入るようなネットワークを作っておきたいものです。それには同業の仲間がいる組合や商工会、商工会議所に加入することなどが挙げられます。

ポイント3:方針を明確にして現場に任せること

冷静に対応し情報を集めたなら、方針を立て現場に任せましょう。細かな口出しをすると現場が混乱しますし、自主性や創造性が育ちません。任せることで経営者が思いつかなかったことが生まれる可能性もあります。

ポイント4:新たなビジネス(価値創造)の機会にすること

新たなビジネス(価値創造)の機会にするためには、自社の強みを再認識することが重要です。その強みを活かし新たな価値を創造するために何が出来るのかを考えましょう。たとえば実店舗のみのオフラインからオンラインショップに進出する、スーパーなどではドライブスルー方式や置き配など新たな販売方式の採用などが考えられます。

まとめ

国内に留まらず海外の事例からも学ぶことで何らかの解決の糸口は見つかると思います。今回のような非常事態では、一人で悩まず身近な人に話を聞いてもらったり、国・都道府県・市町村や商工会、商工会議所など公的支援機関の相談窓口に相談してみましょう。そのことで新型コロナ終息後の事業展開を明るく元気に進める方法がより具体化してくると思います。

文責

中小企業診断士
濵松 一弘

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