ビジネスQ&A

どうすれば「中小会計要領」にしたがった決算書が作れますか?

2021年 8月19日更新

「中小企業の会計に関する基本要領(中小基本要領)」にしたがって決算書の作成を進めたいと思います。具体的にはどのように行えばよいですか?

回答

正規の簿記の原則にしたがってすべての取引を記帳することが、決算書作成の前提です。
その記帳にあたっては、中小会計要領の各論を確認してください。各論では、簿記の手続きではない決算書への注記についても言及されています。

【記帳する】

中小企業の会計に関する基本要領(以下、「中小会計要領」といいます。)では、記帳の重要性に言及しています。
すなわち、「本要領の利用にあたっては、適切な記帳が前提とされている。経営者が自社の経営状況を適切に把握するために記帳が重要である。記帳は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って行い、適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成しなければならない。」ということです。
会計ソフトを導入して自社で記帳するか、適切な資料を揃えた上で記帳業務を外部に委託するか、まずはいずれかの方法で記帳を行う必要があります。

【中小会計要領の各論を確認する】

中小会計要領(末尾の関連情報をご参照ください)の各論では、主要な取引についての会計処理の方法について要点を示した上、この要点についての解説を行っています。
その項目数は、全部で14です。
この中小会計要領を見ながら、以下、読み進めてください。
たとえば、各論の最初の項目「1.収益、費用の基本的な会計処理」には、4つの要点が示されています。
第一番目の要点は、「(1)収益は、原則として、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する現金及び預金、売掛金、受取手形等を取得した時に計上する。」です。
この要点に対する解説が、下に書かれています。
すなわち、「収益のうち、企業の主たる営業活動の成果を表す売上高は、(1)にあるように、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する対価(現金及び預金、売掛金、受取手形等)を受け取った時(売掛金の場合には、発生した時)に認識するのが原則的な考え方です(一般に「実現主義」といいます。)。実務上、製品や商品の販売の場合には、売上高は、製品や商品を出荷した時に計上する方法が多く見られますが、各々の企業の取引の実態に応じて、決定することになります。」ということです。

このように、基本的な会計学の教科書に書かれているような内容が、実に平易な言葉で書かれています。この記述を参考にしながら、冒頭述べた記帳を行っていけば、おのずと決算書は作成できます。

なお、中小会計要領の各論の最後、「14.注記」については、決算書の作成に必須の項目であるものの、簿記の手続きではないので、一般の簿記の教科書には出てこないところです。
ここはぜひ、中小会計要領をしっかりとご確認ください。

回答者

税理士・中小企業診断士
野村 幸広

関連情報

中小企業庁

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