ビジネスQ&A

勤務時間内のボランティア活動は、賃金を支払うものですか。

当社は、ドラッグストアを経営しています。地元に愛される店をモットーに、地域に貢献する活動として従業員の自主参加により、近隣の高齢者福祉施設を訪問し、懐かしのメロディで元気になってもらうボランティア活動を行っています。通常は、月1回、勤務時間内に活動を行っていますが、賃金をどのように考えればよいかを教えてください。

回答

ボランティア活動が、労働時間となる場合には、賃金を支払います。労働時間と判断されるのは、会社からの業務命令に基づき行っている場合です。労働時間とされない場合は、賃金の支払い義務はありませんが、ボランティア休暇を付与するなどして、積極参加を促すことができます。

ご質問のような勤務時間内のボランティア活動については、賃金を支払うケースと支払わないケースがありますが、以下の判断基準に基づいて説明します。

図1 ボランティア活動の賃金支払い判断基準 図1 ボランティア活動の賃金支払い判断基準
図1 ボランティア活動の賃金支払い判断基準

1.賃金を支払うケース

ボランティア活動が業務の一環として行われ、会社の指示のもとに活動している場合は、労働時間となりますので、賃金を支払うことになります。また、参加を強制され活動に参加をしない場合に就業規則などに不利益が定められているほか、会社側の積極的な業務命令がなくても事実上の不利益がある場合には、労働時間とみなされ賃金の支払いは必要となってきます。法定時間を超えて、活動させた場合には、当然、割増賃金の支払いも必要となります。

2.賃金を支払わないケース

ボランティア活動が、業務の一環ではなく、労働者のまったくの自由意思によって行われている場合には、労働時間とはならないので、賃金を支払う必要はありません。この場合、そもそも、労働時間と認識されませんので、会社を離れた以後、時間外労働となる時間帯に活動していても割増賃金の問題は発生しません。

まず、会社で行っているボランティア活動が、労働時間となるのかどうかを確認しましょう。そして、賃金の支払いの有無の判断を行ってください。なお、従業員のまったくの自由意思によって行うボランティア活動に対しては、会社の支援、援助制度を設けることができます。会社の方針として、従業員のボランティア活動を促進していきたいのであれば、次のような支援、援助措置を行うことは有効です。

  • ボランティア休暇の付与
  • ボランティア活動への金銭的支援
  • 人事考課や人事異動での評価の対象とする
  • 表彰制度の実施など

ボランティア休暇は、会社の任意休暇です。休暇とは、労働義務のある日の労働を請求により免除するもので、有給にするか無給にするかは任意となっています。また、付与単位も1日にする必要はなく、半日や時間単位の付与とすることも任意です。

企業の枠を超えた社会貢献の推進は、これからも企業のあるべき姿として求められていくものです。ボランティア活動についての会社の方針を示し、従業員の積極参加を促しましょう。

回答者

中小企業診断士
大塚 昌子

関連情報

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