ビジネスQ&A

役員変更の手続きについて教えてください。

株式会社では、定期的に役員変更をする必要があると聞きましたが、どのような手続きが必要か、取締役と監査役それぞれについて教えてください。

回答

取締役、監査役は株主総会で選任されます。それぞれの任期は原則、取締役2年、監査役4年です。取締役、監査役を選任するためには、株主総会の議決が必要です。また、選任された取締役・監査役は登記することが求められます。その際、選任した株主総会の議事録が必要となります。

【株式会社の3つの機関】

平成18年5月からの会社法施行により、会社の機関の設計が多様となりました。ここでは、中小株式会社のオーソドックスな機関として、3つの機関を取り上げ、簡単にまとめることにします。

典型的な株式会社の3つの機関とは、「株主総会」、「取締役・取締役会」、「監査役」です。それぞれの機関は、以下のような機能をもちます。

  • 株主総会:株式会社の所有者である株主によって構成される、株式会社の最高機関です。
  • 取締役・取締役会:実際に株式会社の業務執行機関および意思決定機関です。
  • 監査役:株式会社の運営が健全かどうかをチェックする監査機関です。会社法の施行により、監査役は原則として、会計監査権限と業務監査権限をもつことになりました。

※監査役設置会社とは、厳密にいうと、監査役の権限を限定しない監査役を設置している会社のことです。会計監査に限定(限定監査役)している会社は、監査役設置会社とは呼びません。しかし、改正法では監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めがある株式会社は、その旨を登記事項にすることによって監査の範囲が会計に限定されているか否かが明確になります(第911条3項)。

【取締役、監査役の選任】

取締役および監査役は原則として、株主総会の決議によって選任されます(会社法329条)。この決議は原則として、普通決議ですが、定款で決議要件を加重する場合には、議決権割合を加重することのみが認められています。取締役を2名以上選任する場合は、株主は定款で別段の定めがある場合をのぞき、累積投票により選任することを請求することができます(342条)。

【取締役、監査役の任期】

取締役の任期は原則2年です。全部の株式について譲渡制限を設けている株式会社(非公開会社)の場合は、定款を変更すれば10年まで延長することができます。登記の回数が減少し、登録免許税などの費用の軽減を図ることができます。一方では、任期中の取締役を解任するには、正当な理由が必要であり、これがなく解任する場合には、その取締役に対して多額の損害賠償(任期満了までの取締役の報酬の賠償)を払うことになります。

監査役の任期は、原則4年です。全部の株式について譲渡制限を設けている株式会社(非公開会社)の場合は、取締役と同様、定款を変更すれば10年まで延長することができます。登記の回数が減少し、登録免許税などの費用の軽減を図ることができます。一方では、任期中の監査役を解任するには、正当な理由が必要であり、これがなく解任する場合には、その監査役に対して多額の損害賠償(任期満了までの監査役の報酬の賠償)を払うことになります。

【役員変更手続き】

取締役、監査役は、任期が満了する場合、辞任した場合、解任された場合、死亡した場合などで、新しく選ばれる場合など、取締役、監査役の役員変更の登記が必要となります。

登記申請書類は状況によって必要なものが異なりますが、一般的には、株主総会の議事録を添付することになります。

会社の登記についての詳細は、司法書士にお問い合わせください。

回答者

中小企業診断士 岩本 亨

中小企業診断士 山北 浩史

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