業種別開業ガイド

司法書士

  • 司法書士とは、法務省所管の国家資格であり、日常生活におけるさまざまな司法上の手続きの専門家である。おもな業務内容は、裁判所、検察庁、法務局などの司法機関に提出する書類の作成や登記・供託などの手続きの代理業務である。
  • 2002年度の司法書士法改正により、2003年4月以降、一定の研修を受けた司法書士に、簡易裁判所で行なわれる民事裁判に本人に代わって出廷・陳述する権限が与えられた。また、少額訴訟制度の新設、自己破産申し立ての増加などにともない、司法書士の業務範囲は拡大している。
  • 司法書士試験の出願者数は増加を続けている。2004年度の出願者数は2万9958人と、近年で最高となっている。合格者数も近年では最高の865名に引き上げられたが、合格率は2.9%と、難易度はきわめて高い。
    資格取得後すぐに独立・開業することも可能だが、司法書士事務所に勤め、実務経験を積んでから独立する人も少なくない。

■起業にあたって必要な手続き■

●司法書士名簿への登録

司法書士として独立・開業するにあたっては、司法書士名簿への登録申請を行なう必要がある。手続きは事務所を開設する地区を管轄する司法書士会を通じて日本司法書士会連合会に申請するかたちで行なう。

【日本司法書士会連合会】
所在地:〒160-0003 東京都新宿区本塩町9-3 司法書士会館
TEL:03-3359-4171

●税金に関する手続き

<開業に関する書類>
○個人事業の開廃業等届出書:開業したことを納税地の税務署に通知する書類
○個人事業税の事業開始等申告書 など

<雇用に関する書類>
○青色事業専従者給与に関する届出書:配偶者や親、子どもなどを専従者として雇う場合に、所轄税務署に提出する。
○給与支払事務所等の開設届出書:社員やパートを雇用して給与を支払う場合、所轄税務署に提出する など

<所得税や源泉所得税に関する書類>
○所得税の青色申告承認申請書
○所得税の「棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法」の届出書:棚卸資産の評価方法もしくは減価償却資産の償却方法を選択する。
*計算方法が複雑なため、税務署員や税理士などの専門家に相談したほうがよい。
○ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書:源泉所得税を従業員に代わって事業主が税務署に支払う回数を年2回にすることができる など

●社会保険に関する手続き

<健康保険・厚生年金保険に関する書類>
法務に携わる事業者は、健康保険ならびに厚生年金保険へ任意に加入することができます。ただし、事業主は対象となりませんので、国民年金・国民健康保険に加入します。申請を行う場合は、健康保険および厚生年金保険の適用対象となった日から5日以内に、管轄の社会保険事務所へ「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。なお、手続きに際しては、労働者名簿や賃金台帳など、さまざまな書類が必要になるため、あらかじめ管轄の社会保険事務所にご確認ください。

※法人化した場合、社会保険などに関する手続きについては、一般の株式会社の設立と同様になります。

<労災保険・雇用保険に関する書類>
従業員(パートを含む)をひとりでも雇っていれば、労働保険(*)に加入しなければならない。

*「労働保険」とは「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」の総称。

  • 労働保険...... 事業開始から10日以内に、「労働保険の保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)に提出し、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付する。
  • 雇用保険...... 事業開始から10日以内に「適用事業所設置届」を公共職業安定所に提出する。また、雇用翌月の10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する。

最終内容確認日2014年2月